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TCR車両を対象とした「ST-TCR」クラスには、「ゴルフGTI TCR」が1台、「アウディRS 3 LMS」が2台、そして、「ホンダ・シビック タイプR」が2台の計5台が参加。ゴルフGTI TCRは、第3戦の鈴鹿から参戦しているAdenau(アデナゥ)が走らせている。
今回は10時間の長丁場ということで、AドライバーのPhilippe Devesa選手、Bドライバーの密山祥吾選手に、レーシングドライバーの脇阪寿一選手が加わり、レース前から注目を集めることとなった。
決勝前日の2日には予選が行われた。予選はAドライバー、Bドライバーごとに15分走行し、A/Bドライバーのベストラップの合計タイムでスターティンググリッドが決まる。
#10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCRは、AドライバーのDevesa選手が1分52秒922、Bドライバーの密山選手が1分52秒026をマークし、ベストラップの合計がトップとなりポールポジションを獲得した。
ST-TCRクラスの予選結果は以下のとおり。
1 #10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCR Philippe Devesa/密山祥吾 3分44秒948
2 #45 LIQUI MOLY RS3 LMS 田ヶ原章蔵/白坂卓也 3分45秒122
3 #98 Modulo CIVIC TCR 黒澤琢弥/石川京侍 3分45秒504
4 #97 Modulo CIVIC TCR 伊藤真一/幸内秀憲 3分46秒555
5 #19 BRP Audi Mie RS3 LMS 奥村浩一/秋吉 圭 3分47秒299
決勝当日、富士スピードウェイは朝から夏らしい晴天に恵まれた。57台が参加するレースはローリングスタートにより戦いの火蓋が切られる。
スタート直後、#98 Modulo CIVIC TCRにトップを奪われた#10 GOLF TCRのDevesa選手だったが、程なくしてトップに浮上しリードを築いていく。
その後も、ピットストップのたびに一度はトップの座を明け渡すものの、交替した密山選手、脇阪選手がライバルを上回るペースで周回を重ね、トップに返り咲く。
そして中盤、3度目のピットストップで脇阪選手からDevesa選手に交替したときには、トップのままコースに復帰するなど、レースは極めて順調に進んでいった。
ところが、4度目のピットストップで密山選手に交替したあと、ST-3クラスのマシーンが#10 GOLF TCRのリヤホイールにヒット。幸いボディにダメージはなかったものの、「トウが大幅に狂ってしまい、ステアリングが90度ズレている状態で残りを走ることになりました」とは密山選手。
一方、ライバルたちもトラブルに見舞われ、優勝争いは#10 GOLF TCRと#19 BRP Audi Mie RS3 LMSの一騎打ちという状況になっていた。
5度目のピットストップで#10 GOLF TCRはタイヤに加えてブレーキパッドも交換。これに約7分を要した#10 GOLF TCRは#19 BRP Audi RS3の後方、約1分遅れでコースに復帰する。
トラブルを抱えながらも#10 GOLF TCRの脇阪選手は#19 BRP Audi RS3との差をじわじわと詰めていく。しばらくすると#19 BRP Audi RS3がコース上で単独スピンし、直後にピットストップ。さらにドライブスルーペナルティなどが重なり、#10 GOLF TCRはトップを獲得するとともに、2位との差を2周近くまで広げることになった。
終盤はDevesa選手、そして密山選手が苦しい状況のまま走行を続ける。そして、レース終了まで30分を切ったところで、#10 GOLF TCRが予定外のピットストップ。狂ったアライメントがタイヤに偏摩耗を生じさせたため、タイヤ交換を余儀なくさせたのだ。
それでも、#19 BRP Audi RS3と5周の差を築いていた#10 GOLF TCRはトップのまま逃げ切り、10時間の耐久レースで勝利を収めた。
ST-TCRクラスの決勝結果は以下のとおり。
1 #10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCR Philippe Devesa/密山祥吾/脇阪寿一
2 #19 BRP Audi Mie RS3 LMS 奥村浩一/秋吉 圭/山脇大輔/上野嘉三
3 #97 Modulo CIVIC TCR 伊藤真一/幸内秀憲/道上 龍/中野信治
4 #98 Modulo CIVIC TCR 黒澤琢弥/石川京侍/加藤寛規/吉田広樹
#45 LIQUI MOLY RS3 LMS 田ヶ原章蔵/白坂卓也/竹田直人/新井敏弘
レース後、脇阪選手は、「トヨタのドライバーがゴルフに乗るという、貴重な経験をさせてもらいました。10時間、壊れないクルマを用意してもらい、しっかりチームもサポートしてくれて本当にうれしい。ゴルフに乗ることで、あらためてトヨタの良さ、フォルクスワーゲンの良さを発見することができましたし、僕自身、思い切りレースを楽しませてもらいました」とコメントした。
密山選手は、「前半は、後ろのアウディやシビックが近づいて来たら離す感じで、完全にコントロールするようなレースができました。一方、後半は、最後は2分で走るのもいっぱいいっぱいの状況で、ホントにヒヤヒヤしましたが、なんとか走りきることができました。最後までクルマがもってくれて良かったです。参戦2戦目にしてポールポジション、ファステストラップ、優勝が獲れたのはホントによかったし、うれしいです。こういう耐久レースで培った経験をゴルフのお客さまに絶対フィードバックできると思いますので、よろこびもひとしおです」と話した。
そして、次戦の岡山に向けては、「リヤをぶつけられたことで、ヒントも見つかったんです。それをみんなが考えてセットアップしていけば岡山も良いレースが出来るんじゃないかなと思います」と語る密山選手。脇阪選手も「僕がいなくてもたぶん勝ったと思いますけど(笑) とても素晴らしいチームでした。次のレースもまた彼らが勝つと思うので、いまから楽しみです」と述べるなど、次戦への期待を膨らませる結果となった。
次戦の「スーパー耐久シリーズ2017 第6戦 岡山」は10月14日〜15日に開催される。
(Text & Photos by S.Ubukata)