2017年9月11日、フォルクスワーゲンは近い将来、すべてのモビリティサービスを「Volkswagen We」に統合すると発表した。
フォルクスワーゲンは、今後、さまざまな新サービスを提供するにあたり、これまでのオンラインサービスやアプリを含めて、「Volkswagen We」と呼ばれる新しいプラットフォームに統合する。

すでにフォルクスワーゲンは「Volkswagen Car-Net」と呼ばれるサービスを提供しており、世界で260万人のドライバーがこれを利用しているが、同社は2025年までに新サービスの「Volkswagen We」ユーザーを約8000万人まで拡大したい考えだ。

すでに始まっているサービスが「Volkswagen Car-Net」。純正インフォテインメント/ナビゲーションシステムにスマートフォンを連携する"App-Connect"、オンライン施設検索や駐車場の満空情報など各種オンラインサービスが利用できる"Guide & inform"などは、日頃から利用している人も多いだろう。

そして、新たに始まるのが「Volkswagen Connect」。車両のOBD2ポートに挿した"DataPlug"がBluetoothによりスマートフォンアプリと通信することで、たとえば、次回の点検整備時期、燃料の残量、現在位置など、さまざまな車両情報を入手することができるようになる。しかもこのVolkswagen Connectは、今後発売される新車だけでなく、2008年モデル以降の多くの車両に対応するという。


「We Park」は、キャッシュレスで駐車サービスが受けられるシステム。専用のスマートフォンアプリは、現在地付近の駐車場と駐車料金を表示。ユーザーが駐車場に入り、スマートフォンのアプリを操作すると課金がスタート。駐車場から退出際には自動的に料金の支払いが終わるので、現金やクレジットカードで精算する必要はない。

We Parkは2017年春にベルリンで導入され、8月以降は、アウグスブルク、ハンブルク、ケルン、ポツダム、ウォルフスブルクに拡大。今後、さらに導入都市が増える予定だ。


「We Deliver」は、ネットショッピングの配送先としてクルマのラゲッジルームを指定できるというもの。宅配業者はGPSデータにより配送先のクルマを特定し、モバイル端末により1度だけラゲッジルームにアクセスできる。

2017年9月2018年4月まで、フォルクスワーゲンはベルリンにおいて、パートナーのDHLとともにトライアルを実施しており、参加希望者にはこのシステムを搭載した「ポロ」が4週間、無償で貸与されるそうだ。


「We Commerce」はフォルクスワーゲンとIBMが開発中のサービスで、ユーザーはインフォテインメントシステムやスマートフォンを通じてお勧め商品の情報などを受け取ることができるようになる。たとえば、ガソリンの残量が減ったときに、「このガソリンスタンドで給油すると洗車無料」といったキャンペーン情報が自動的に送られてくるようになる。

フォルクスワーゲンはVolkswagen Weを利用するために"Volkswagen User-ID"を導入。このユーザーIDを使ってログインすることで、各種サービスが利用可能となるとともに、フォルクスワーゲンのレンタカーを利用する際にその情報を利用すれば、シートポジションや空調、サウンドなどの設定を自動的に転送することもできるといい、愛車以外を運転する場合にもさまざまな恩恵が受けられるようになる。

フォルクスワーゲンオーナーであることがさまざまなシーンで役に立つようになる将来。それを支えるのがVolkswagen Weということになる。

(Text by S.Ubukata)