太田:どうだった?
ウブカタ(以下ウブ):もともとゴルフGTIって軽快な動きが自慢のクルマじゃないですか。その軽快さがさらにアップした印象ですね。それは、エンジンのパワーの出し方や足まわりのセッティングに秘訣があるんでしょうか?
太田:一番大きいのはDTT ECUチューン(Digi-Tec by TEZZO)のセッティングかな。パワーとトルクをアップさせただけじゃなくて、日本の環境で使いやすくしているんだ。ヨーロッパのセッティングだと、サーキットを走ったりするにはいいんだけど、日本はストップ&ゴーが多いから美味しいところを使わずに終わってしまう。それで、DTTでは、発進加速あたりから力が出るようにしているんだよ。
ウブ:排気量が大きくなったみたいです。スタートでポッと踏んだ瞬間から「力あるな!」って。ここが痩せてないから日本では使いやすいですよね。
ウブ:セッティングはできるだけリニアに?
ウブ:確かに。トルクがある大きいエンジンみたいな感じですね! しかも、アクセルを踏み込むと4000rpmを超えたあたりからグォーっとくるのがいいですね。
太田:マフラーのおかげもあるかな。ターボだから吹け上がりがよくなったでしょう? 足はどう?
ウブ:足も硬めですけど、快適さは十分キープしていますね。
太田:これはKWをセッティングしたんだけど、あまりガチガチにはしないで、スプリングと減衰をいろいろ調整していったらこうなったんだ。車高もいろいろいじってサーキットでも気持ちよく走れるようになったね。
ウブ:街中でも硬すぎず、なかなか気持ちがいいですよね。それと、高速のフラット感が抜群で、それでいてコツコツしないのがうれしいです。
太田:タイヤとホイールも替えているしね。ホイールはプロドライブのGC-05Nで、19インチだけど鍛造で軽いから、それが乗り心地に効いてる。この車高調とは別にローダウンサスもつくったけど、それのほうが低速域の乗り心地はいいから、街乗りならそっちのほうがいいかもね。ただし、サーキットでも問題ないけど、車高調のほうがアンダーが消えるのでサーキット向きかな。
ウブ:見た目だけじゃなく、動きも洗練されている印象ですね。
太田:FFってアンダーステアを消すにはちょっと前を下げて後ろを上げるのがいいだよね。ちょっと前下がりのほうが見た目もカッコいいしね。
ウブ:そういえばブレーキの感触も良かったです。
太田:低ダストタイプのブレーキパッド、クリーンスポーツを使っているからな。
ウブ:低ダストだとは気づきませんでした......。効きがいいですね。
太田:一般的にダストが少ないブレーキパッドは効きが良くないというのが多いんだけど、クリーンスポーツはそのあたりのバランスを取ってる。踏んだら踏んだだけ効くような感じのセッティングにね。サーキットでもそこそこいけるんだよ。
ウブ:クルマそのものがサーキットユースに特化していないのがいいですね。
太田:「オレって良いクルマに乗ってる」って思いたいじゃない。もともとのコンセプトが「実用車であるゴルフを高級車にしよう」だったからね。ちょっと地味なのをイタリア車のように少し派手にしよう......イタリア車というよりフェラーリだよね。フェラーリってスポーティだけど乗り心地が良くて、スポーティだけどすごく高級で......というのがうまいバランスにできているんだけど、それに近づいたかなぁ。
ウブ:確実に近づきましたね。このGTIはインテリアもいいですしね。最近、ゴルフに乗り換えて思うのが、インテリアが地味なこと。
太田:わざとそうしていると思うことがあるよ。無骨というか、質実剛健というか。
ウブ:そう、そう。
太田:自分の好きな色を入れるだけで楽しくなるからね。黒一色だと飽きちゃう。
ウブ:ドアのグリップもアクセントとして効いてますよね!
太田:ステアリングホイールだけだと浮いちゃうから、シフトブーツやアームレストその他に同じ色のモノを入れて、調和を図ったんだ。
ウブ:もっとスパルタンかなと思ってましたけど、運転して気持ちの良いクルマでした。
太田:そうなると、次にどうするかが悩みどころで......。
(Text by T.Ota & S.Ubukata / Photos by H.Ohshima)