■要するにリフォームだ!
天張り、英語でいうとヘッドライナー、あるいはヘッドライニングとなるこの内装パーツは、かつてはどんなクルマでもかなりの確率で剥がれ落ちたものだ。部分的に膨らんだようになって見栄えが悪くなるなんてのは序の口で、剥がれ落ちて垂れ幕のようになって視界を妨げることもしばしば。
ゴルフ3の場合、初期モデルでは少なからず天張り剥がれが起こる可能性ありとされる。ルーフライニングの構造材となる薄い発泡ウレタンと表皮(塩ビ)の間の接着剤が、経年劣化でその用をなさなくなってくるからで、この際、ゴルフ3オーナーは、時が経てばどのみち剥がれ落ちるてくるものと考えておくほうがよさそうだ。ゴルフ3のライニング表皮は通気性をあまり考慮してない塩ビ製のシートで、接着剤を含め、高温多湿という日本の気候条件ではかなり厳しいものがあると思われる。
天張り、英語でいうとヘッドライナー、あるいはヘッドライニングとなるこの内装パーツは、かつてはどんなクルマでもかなりの確率で剥がれ落ちたものだ。部分的に膨らんだようになって見栄えが悪くなるなんてのは序の口で、剥がれ落ちて垂れ幕のようになって視界を妨げることもしばしば。
もし、剥がれ落ちてきたなら、新しいライニングを取り寄せればいいということになるが、残念ながら、ゴルフ3のモールドヘッドライニング(VW純正部品名)は、もう日本では部品供給がないようだ。あったとしても、そのお値段は税抜きで75,000円也で、コストパフォーマンスがいいのか悪いのかなんともいえないところ。
今回、オグラが大阪・茨木のラインハート(072-621-1100)を通じてヘッドライニングの修理を依頼したのは、豊中のライオン(06-6335-0244)という内張屋さんだ。代表は二代目という中山真吾さん。ライオンが用意しているヘッドライナーは、国産品と輸入品、カラーも10数種類と豊富で、ほぼどのようなクルマにでも対応できるとしている。オグラがセレクトしたのは、純正の表皮の色に似たグレーで、輸入品のほう。そのウレタンシートは3㎜厚と、国産の5㎜厚より薄く、より純正に近い仕上がりになる。
作業はヘッドライニングを外すことから始まるが、ここはラインハートの吉本さんが行なう。ライニングは、周囲のピラーカバーに挟み込まれる形となっていて、アシストグリップやサンバイザーを留めるネジとの共締めで固定される仕組み。これらを外して、ようやくライニングをリアのハッチから取り出せるようになるからだ。ライオンの中山さんはこれを工場に持ち帰り、新しいウレタンシートを貼る前の作業として、塩ビのシートを剥がし、構造材の薄い発泡ウレタン側に残る接着剤もきれいに落とす作業を行なった。
さて、ライニング張り替え自体は、薄いウレタンのほうにエアガンで接着剤を塗布することから始まる。そして、新しいウレタンシートにもエアガンで接着剤を塗布。いずれも、ベタッと塗るのではなく、フワッと塗る感じで、塗った後はしばらく乾燥時間を取る。で、新しいウレタンシートを構造材にかぶせ、その上から手を軽いタッチで滑らせるようにしながらシートを構造材に密着させていく。サンバイザーやアシストグリップを収納する凹部も、その形状通りにシートを押し込んでいく。
それが終われば、ウレタンシートの余計な部分を切り落とし、内側に折り込んでいく作業。これで作業は終了だが、接着剤が安定するまで、またしばらくの時間、そのままにしておく。数時間は確実に、可能ならば1日ぐらいはそのままにしておくのがいいとか。
残るは、ルーフライニングをクルマに戻すだけ。これが、ごくオーソドックスなルーフライニングの修理方法だ。その修理代だが、ラインハートによれば、ルーフライニングに国産品を使うとおおよそ70,000円で、今回のように輸入品を使うと90,000円前後というところ。いずれも工賃込みの修理代で、サンルーフ装着車はもう少し高くなるという。
■これならもう絶対に落ちない
ここで紹介するもうひとつの修理方法は、もう二度と絶対にルーフライニング表皮の垂れ落ちはないといえる画期的な(?)やり方だ。それは、ルーフライニングの構造体となる薄い発泡ウレタンそのものに、塗装を施してしまうというもの。埼玉・日高のスタイマー (042-984-1417) の代表、石戸さんの発想。実際に塗装をするのは、その協力工場であるボディショップ桑原 (042-989-7444)の桑原さん。
ここで紹介するもうひとつの修理方法は、もう二度と絶対にルーフライニング表皮の垂れ落ちはないといえる画期的な(?)やり方だ。それは、ルーフライニングの構造体となる薄い発泡ウレタンそのものに、塗装を施してしまうというもの。埼玉・日高のスタイマー (042-984-1417) の代表、石戸さんの発想。実際に塗装をするのは、その協力工場であるボディショップ桑原 (042-989-7444)の桑原さん。
もちろん表皮は剥がしてしまい、薄い発泡ウレタン側に残ってしまう接着剤は可能な限り落とす。残ってしまうと、塗装に悪影響を及ぼすとのことだ。塗料は、ウレタンバンパーの塗装に使う柔らかい塗料を使う。ルーフライニングの装着作業では、ライニングをしならせる、少し曲げて入れ込むといったことが多いからで、通常の塗料ではその段階でヒビが入ってしまうのだ。
その仕上がりは、率直にいって、オーソドックスな方法に比べれば、薄い発泡ウレタンの凸凹がそのまま浮き出てしまうこともあって、あまりエレガントとはいえない。とはいえ、クルマの外からワザワザ室内の天井を見る人もいないだろうし、ドライバー自体、通常は天井がどうなっているかなんてことは意識しないことを考慮すると、これで十分という見方もできる。割り切ってしまえばいいのだ。
ルーフライニングは、剥がれ落ちる、あるいは垂れてくるからといって、取っ払ってしまうわけにはいかない。ルーフに当たる雨音の遮断や、照りつける夏の太陽から室内を守るヒートインシュレーターといった役割もあるからで、室内の快適性を確保する上で欠かせないものだからだ。ということもあって、割り切れて、もう垂れてくるのは二度とゴメンなんて思う方には、この方法をオススメする。スタイマーによれば、おおよその修理代金は、工賃込みで45,000円というところだそうだ。