そろそろ、ゴルフ4のGTIの時代ではないだろうか。いや、サーキットでの話。いわゆるコンビニレース、それに参加するサンデーレーサーに向けての提言だ。いま、最もコストをかけずにサーキット走行を楽しめるクルマは、実はゴルフ4のGTI。これでもし、ワンメイクを成立させたら、楽しいだろうなと想像する。
■ なぜ、ゴルフ4のGTIか

いくつか理由がある。まず、第一には4のGTIの値段がそこそこ安くなってきたことが挙げられる。4の日本デビューは'98年。10年以上が経過して、少なくとも初期型に関しては中古車価格がこなれてきた。コストをかけずにサーキット走行やレースを楽しもうとするなら、ベースになるクルマは安い方がいいに違いない。これが一番大きい。

ゴルフ4というクルマは、ボディが大きくなって全幅が1,700㎜を超え、3ナンバーとなった最初のゴルフ。GTIに搭載されたエンジンは、気筒当たり5バルブ、ゴルフ史上初となるターボユニットで、1,780㏄という排気量から150ps/5,700rpm、最大トルク21.4㎏m/1,750rpmという性能を発揮した。とはいえ、全体的にはマイルドな性格。歴代のGTIに比較すると、抜きん出たポジションにあるとはいえなかったように思う。特に、'02年末にR32が登場して、スポーティレンジのトップという地位が奪われてしまうと、ますますその存在感は薄れてしまった。

しかし、である。4がそれまでのゴルフとは次元が異なる高品質で、とりわけボディに関しては、一部にレーザー溶接が採用されていることもあって、剛性の高さ、堅牢さが、高く評価されたことを忘れてはならない。それは、GTIにもいえて、見方を変えれば、サーキット走行にも十分耐えて、長く使える可能性があるということ。それに、忘れてならないのは、4のGTIはマニュアルミッション車が基本だということ。ドライバーにある程度の技量を要求するという点。これが、第二のポイントである。

さらには、チューニングパーツがすでに豊富に用意されていることも見逃せない。ただし、それは後のお楽しみ。ワンメイクを長く続けようと考えるなら、最初はできるだけ許容改造範囲を狭めた方がよい。チューニングはとかくエスカレートするもので、それを許してしまうと、たちまちクルマにかかるコストが跳ね上がってしまうからだ。そうなると、ビギナーは引いてしまう。とりあえずのスタートは、ほぼノーマルに近い形にしておいて、ドライバーもマシンも煮詰まってしまったら、次の年に改造許容範囲を拡大するというのが、賢明な方法ではないかと思う。

■ バックアップ体制が重要

いま、フォルクスワーゲンのサーキットイベントは少なくなりつつある。多分、5や6だとイニシャルコストがあまりにも高くなってしまうからで、かといって、2や3では、サーキットを走行できる状態にするまでが大変ということが知られているからだ。というような状況にあって、このままだと、ゴルフを使ったサーキットイベントは減少の一途を辿りかねない。だからいま、4のGTIなのだ。

もしも、4のGTIのワンメイクが成立したなら、重要になってくるのは業界のバックアップ体制。ショップ、またチューナーは、このワンメイクを自社の宣伝広告ツール的に捉えるのではなく、フォルクスワーゲンによるモータースポーツを振興するという立ち位置で、エントラントをサポートしていって欲しい。