1回目は『純正イグニッションコイルの構造と弱点』についてです。




イグニッションコイルの突然死でエンジン不調に陥ったり、リコールなどでイグニッションコイルを交換された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、アフターパーツのイグニッションコイルで有名な『プラズマダイレクト』を製造販売するOKADAPROJECTSの技術担当である下岡さんにフォルクスワーゲンやアウディが採用しているダイレクト点火方式のイグニッションコイルについて、その構造や弱点を聞いてみました。

イグニッションコイルと聞いて、「電気を作る装置」と連想される方は多いかと思います。イグニッションコイルとは点火時期になると高電圧を発生させる装置の事です。しかし最新のイグニッションコイルは高電圧を発生させる以外の役割を担っている事をご存知でしょうか?それでは、簡単に新旧点火システムの違いについて説明いたします。

上の写真は旧式の点火システムの構成です。
①イグナイター:コンピューターからの点火信号を元にイグニッションコイルへ流す電気をON/OFFするスイッチング装置

②イグニッションコイル:高電圧を発生させる装置

③センターコード:イグニッションコイルで作られた高電圧をディストリビューターへ運ぶコード

④ディストリビューター:点火が必要な気筒へ高電圧を分配する装置

⑤プラグコード:スパークプラグまで高電圧を運ぶコード

⑥スパークプラグ:高電圧をスパークさせて混合気に着火させる装置

旧式の点火システムでは①~⑥の構成が必要でした。しかし現行車のエンジンルームを見てもこの様な点火システムを見ることは出来ません。なぜなら①②⑤の部品が全てイグニッションコイルに内蔵されてしまい、コードはその姿を消しました。(補足:現行車でもプラグコードを使用している車種も一部あります)

左の写真は一見プラグキャップ(プラグコードの先端部分)の様に見えますが、内部には旧式の点火システムの構成部品である①イグナイター、②イグニッションコイル、⑤プラグコードの機能が内臓された「ダイレクトイグニッションコイル」なのです。

ダイレクトイグニッションコイルは直接プラグへ挿して使用するため、各気筒に1つ必要となります。4気筒であれば4つのコイルが使用されているということになります。

ダイレクトイグニッションコイルのメリットとしては、各気筒の点火時期を細かく制御出来る事です。車にはセンサーが多く設けられており、センサーからの情報はECU(コンピューター)へ送られます。ECUはセンサーからの情報をもとに、その時々の走行状態に適した点火時期で信号をイグニッションコイルへ伝え高電圧を発生させる事が可能となったのです。旧点火システムに比べ細かな点火制御を行うことが可能となり、出力アップやクリーンな排気を実現しているのです。

良い事尽くしのダイレクトイグニッションコイルですが、デメリットが無いわけではありません。皆さんもご存知の通り2009年純正イグニッションコイルのリコールありました。その問題はダイレクトイグニッションコイルだから発生した不具合と言っても過言ではありません。
ダイレクトイグニッションコイルは前述した通りプラグへ直接取り付けるため、エンジンからの熱を直接コイルが受ける形となります。イグニッションコイル自体も発熱しますので、これらの熱により手で触れないくらい熱せられます。使用する材質によっては、これらの『熱』により材質が劣化しコイル内部に亀裂が生じてしまい、リークやコイルの断線につながり最終的に失火となってしまうのです。

次回は、純正イグニッションコイルとアフターパーツのイグニッションコイル『プラズマダイレクト』を例にイグニッションコイルの性能アップを図ることのメッリトと故障予防への効果などについてです。

■関連リンク:OKADAPROJECTS

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