Q:パサートワゴン 1.8T 98年モデルを所有しています。10年10万キロという状況になり、ダンパーとブッシュの交換を考えています。社外製のダンパーか純正ダンパーかと迷っています。あまり硬くなることは望んでいませんが社外製にした場合、純正より硬くなりすぎることはあるでしょうか? また、純正より車高が低くなってしまうでしょうか。
A: 10年10万キロご使用されて、サスペンション廻りのリフレッシュを行いたいということですね。ショックアブソーバーについては新車時より無交換ということであれば相当劣化(へたっている)していると思います。今回のご相談ではショックアブソーバーの交換後に乗り心地が硬くなることを望まれていないということですが、まず判断の基準を整理する必要があると思います。どのようなことかといいますと、同じ純正のショックアブソーバーであっても10万キロ使用された状態と新品では硬さや乗った時の印象はかなり異なると思います。つまり、純正でも場合によっては、「こんなに硬かったかな?」と思われるかもしれません。ですから、単純に硬いという基準だけで考えてしまうと、純正以外はもっと硬くなると考えていいと思います。ショックアブソーバーは伸び縮みする構造になっていますので、それぞれのメーカーによりその特性が異なります。硬いといっても縮む方向には純正よりやわらかく、伸びる方向で硬いものや両方とも硬い特性のものなど様々です。
簡単に社外製のショックアブソーバーについて説明しますと、大きく分けて「複筒式」と「単筒式」の2種類があります。「複筒式」は純正ダンパーに採用されていて乗り心地を求めるのに適した構造です。KONIは「複筒式」を採用していて、路面からの入力初期の減衰力特性を純正よりやや弱めにしてその後高めるという工夫を施して突き上げを抑え、伸び側を強くすることで不快なピッチングなどを抑えます。「単筒式」は、ビルシュタインによく見られる構造で高圧ガスを封入しています。スポーツ性、耐久性に優れている反面、路面からの突き上げを感じやすい構造ながらシャープなハンドリングと安定感の向上が得られます。このように構造によって、特徴が異なりますので社外製のショックアブソーバーに変更する場合は、どちらがご自身の使用目的にあっているかを良く検討されてから購入された方がよいでしょう。
車高の変化については、ショックアブソーバーの交換において低くなることはまずありませんが、「単筒式」のガス圧が高いショックアブソーバーの場合、交換前より車高が上がる可能性があります。
サスペンションブッシュについては、使用箇所が多いので交換作業は難易度が高く費用も高額になります。ブッシュは、サスペンションアームの取り付け部分に使用されていますので、交換作業はサスペンションを受け止めているフレーム自体の取り外しや各アームの脱着を行いブッシュをプレス機や特殊な治具を使用して交換することになります。正規ディーラーでは、ブッシュ単体の交換を行うケースは稀で殆どの場合、アームごとの交換となることが多いようです。ユーザーの方はイメージ的にサスペンション交換と一緒に出来る作業と思われるようですが、作業工程や内容も大きく異なりますので正規ディーラー、ショップにてアドバイスを受けてください。
最後に今回ご質問をいただいたパサート B5 1.8Tを例にとってアドバイスを行いたいと思います。フロントの4リンク式サスペンションのアッパーアーム前後2本とフロントスタビライザーリンクが要注意です。ボールジョイントのガタ、アーム取り付け部分のブッシュの亀裂などが多く見受けられます。もし、異常があった場合は交換を行って下さい。また、10万キロという使用期間からフロントストラットアッパーマウント、前後スプリングマウントシート上下、バンプラバーの交換も推奨します。それ以外のブッシュについては、状態をみて判断し亀裂などの支障が無い場合は交換されなくても大丈夫だと思います。
交換の際に参考にしていただければと思います。
車高の変化については、ショックアブソーバーの交換において低くなることはまずありませんが、「単筒式」のガス圧が高いショックアブソーバーの場合、交換前より車高が上がる可能性があります。
交換の際に参考にしていただければと思います。