決勝の朝は前日より強い日差しでした。「今日は熱くなりそうだな・・・」と思いながらサーキットに向かいました。


サーキットに入り、準備をして8時に車検場へ。同時にドライバーの装備品(ヘルメット、スーツ、ブーツ、グローブ等)が最新のFIA規格に適合しているかもチェックを受けます。
車検が終ったらそのまま車検場近くの医務室にてメディカルチェックを受けます。予選までの空き時間で、浜崎さんと予選アタックの段取りやタイミングの打ち合わせをして準備万端で予選を迎えました。
9時30分、いよいよ予選が始まりました。まずは、#67の萩原さんがコースインしていきます。その後、#81の鈴木先生(有名なお医者さん。僕より年上にもかかわらずいつも若々しくて素敵な先生)が続いてアタックにいきました。僕と浜崎さんは全てのドライバーがコースインしていくのをピット前で待ちました。ところが、白いゴルフが一台、僕らと同じようにピット前に長い間とまっています。うちのチームと同じように、クリアラップを取るためにタイミングを計っているのだろうと考えていると、その白いゴルフはコースインしていきました。

しばらくしてから、浜崎さんと僕もコースイン。タイヤとブレーキに厳しい富士スピードウェイ。「一発できめるぞ」と自分に言い聞かせながら1コーナーを回っていくと、不思議な光景がありました。先にコースインした白いゴルフが2コーナー手前辺りをスロー走行でいました。浜崎さんも僕も、余裕を持ってクリアラップを取るためにインラップを、路面の状況を確認しながら相当ゆっくり走っていましたが。それでも100Rを終える頃には追いついてしまいました。しばらくは後ろについていましたが、クリアラップをとるためとは言え、何でそんなに(サーキットではまず経験のない低速で)ゆっくり走っているのか理由がわからずにいました。

しかし、時間にも限りがあります。浜崎さんは300Rでその白いゴルフを追い抜きつつ予定通りの場所からペースアップをしていきます。僕も同じように浜崎さんの後に続きました。すると、突然その白いゴルフも猛然と加速し、ダンロップコーナーからの上りでは僕の後ろにビッタリ張り付いてきました。
その白いゴルフは僕の車を利用したスリップストリームを狙っていました。最終コーナーを抜けホームストレートに入ると真後ろから、みるみるその姿がバックミラーの中で大きくなってきます。予選にもかかわらず、僕もホームストレート上で右に左に振っても逃げ切れず完全に「ロックオン」されていました。速度が上がれば上がるほどスリップストリームの効果は上がり、距離が縮まります。その勢いのまま僕の右側に並び1コーナーで僕のインを刺してきました。まるでデッドヒート中のレース。とても予選とは思えない状況でした。とはいえ、こちらもアタックラップの最中。速度を落として相手に道を譲るわけにも行かずに並んだまま1コーナーを立ち上がりました。スリップストリームで速度が高くなっていた白いゴルフは1コーナー立ち上がりでアウトにはらみ、外側にいた僕はそのままコース外へ・・・なんと予選の最初に砂利をひろってしまいました!?

(続く)