以前からときどき髭を伸ばすことはあった。それは伸ばすと言うより剃らないだけで、要は伸びてしまった状態だった。休日は基本的に髭を剃らないので、金曜に髭を剃り忘れたときとか、三連休のときとか、月曜の朝には多少伸びている。たまには髭もアリかと思って、そのまま仕事に行ってみたりした。それだけでも気分転換の効果はあったと思う。
しかし、そういうのはいわゆる無精髭の部類だろう。月曜はまだ少し短くて剃り忘れたみたいだし、水曜くらいには程良いが、金曜にはもう不揃いに伸び過ぎてみっともない。そうなると自分でも邪魔に感じて剃ってしまうから、まるで恒常性がない。これは到底ファッションとかスタイルとは言えそうもない。

先日、8speedの打ち合わせにデザイナー氏が髭面でやってきた。彼はときどき髭面をしているのだが、あらためて至近距離でまじまじ見てみた。もともとダンディー系の人なのだが、髭面は何やら少しワイルドさが加わって、ちょい悪オヤジ系の格好良さを醸している。少し羨ましくなって、どうやって手入れするのか聞いてみた。

髭用のトリマーで長さを揃えるのだそうだ。「うん、僕は口髭は5mmで顎髭は3mmにしますよ、髭剃りと同じで簡単ですよ」と。・・・ほほぅ、なるほど。興味が湧いたが、それからしばらく忘れてしまっていた。先日たまたま金曜に剃り忘れて月曜はそのまま剃らずに出社したので、火曜には程良い感じになっていた。放置すれば木曜には剃らないと納まらない。っで、火曜の夜、閉店し掛けたビックカメラに駆け込んでトリマーを購入したのだ。

初めての物を買うのは、ちょっとドキドキする。本当はもっと吟味して買いたかったが、店に入ったのが丁度閉店時刻。髭剃り売り場に着いたときには時刻を過ぎてしまい、落ち着いて見れる雰囲気ではなかった。知らないメーカーの3,980円のにしようかと思ったが、「結局値段で決めるオータニさん(オータニは私のハンドルネーム)」というフレーズが頭をよぎって、清水の舞台から飛び降りた。っと言っても、次に安い5,980円のPanasonicのだ。

写真の機種だが、これは3,6,9,12,15mmと、3ミリ間隔でしか長さを調節できない。7,980円出すと2mmの設定もできるが、それは歯幅が広くて、頬髭まで生えた人には良くても私のように口と顎だけの人にはかえって使いにくそうだ。3mmで長すぎたらどうしよう。3,980円のは無名メーカーだが2mmも設定できる。安いが、そっちの方が良いのではないか?っが、さっきのフレーズが悔しくて(爆)、それじゃない方に決断した。

余談だが、そのフレーズはわりと良く当たっている。数年前に言われて初めて気づいたのだが、さんざん蘊蓄を並べた挙げ句に結局一番安いのを買う傾向にあるのである。そのフレーズをのたまった人は、綿のキルティングのコートに平然と14万も出すような人で、またその買い物スタイルが板に着いていて少し素敵だ。そのフレーズは、いろんな場面で私の頭の中に勝手にリフレインして、影響されてしまう。自分の判断で選んだのか、そのフレーズに反抗して天の邪鬼な選択をしているのか、自分でも分からなくなることがある。

まぁ、いい。それは余談だ。ともあれ、自分の選択かフレーズに押されたか分からないが、5,980円也でPanasonicのトリマーを買って帰り、早速剃ってみた。髭は全部が一斉に伸びるのではなく、バラツキがある。トリマーでカットすると、余分な長さだけを切るので、全部の長さが揃うのだ。そして、2日に1度ほど剃っていれば、希望の長さを何日でも維持できる。3mmで剃ると、これが実に丁度良いじゃないか。希望通りの長さだ。

私の髭は、どんなに放置しても、写真のように口の上と顎の真ん中へんしか生えない。口髭と顎髭が輪のように繋がったりしないし、頬髭が生えて揉み上げと繋がったりもしないのである。3mmにカットしてから、鏡を見て、下唇の直下にチョロッと生えた髭(清志郎さんが伸ばしてたところ)が気になったので、そこは全部剃った。そして、ちょうど写真のようなデザインにした。尤も、顔はこの写真ほど格好良くはない。

私は年齢的に押しも押されもしない正真正銘のオヤジなのだが、自分の意識としては大人になりきれてない感覚がいつもある。髭をトリマーで整えたら、なんとなく少し大人っぽくなったような気分だ。うーん、ワイルドでダンディな、チョイ悪オヤジになれたか(笑)? それで水曜、木曜と仕事に出てみたが、周囲の反応は・・・無反応(爆)。だれも他人の髭のことなんか気にしてないらしい。・・・まぁ、そりゃそうだ。

しかし、自己満足的にも、変身願望的にも、髭ファッションは面白いと思う。大抵の男性は髭が生えるし、若いうちは薄くてサマにならなくても40にもなればそれなりに濃くなる。アラフォーのオヤジは一度はやってみる価値がある。職業柄難しいというのもあるだろうが、普通の髭剃りしか持ってないアラフォーオヤジ方は、トリマーを買ってみることをお薦めしちゃう。5,980円払っても、投資効果は十分納得できた。あぁ、3,980のにしなくて良かった。

何でもチャレンジングの40代なのである(笑)。