そして、なにより驚かされたのは、その静粛性だ。なにしろ、アイドリング時、かすかに聞こえてくるのは、ファンの作動音のみ。それは、純正ナビゲーションシステムの冷却用ファンの羽音。パソコンのファンが回っているような、音だけだ。エンジンは、遙か遠くにあるような感じで、まるでその存在を意識させない。やや大げさな表現をさせてもらうと、その静寂さゆえ、ひとりでいると、寂寥感を覚えてしまうほど。もし、友達以上、恋人未満の二人なら、なにか気まずい雰囲気になってしまいそうな静けさだ。
静粛性の獲得には、フロントガラスに遮音PVBフィルムを挟み込んだり、フロント・サイドウインドーの厚さを10%増しに、さらにウインドーガイドシールを二重構造にするなど様々な努力が重ねられている。Aピラーのレインチャンネルも変更されて、風切り音を低減する形状となっている。タイヤが発するパターンノイズに関しては、ホイールハウス内部に遮音材を加えてもいる。エアコンなどの送風音にも対応して、ダクトやファンブレードの改良を実施している。広範囲にわたって遮音材が使われていることも明らかになっている。ともあれ、驚くほど微に入り、細に入りの配慮がなされている。
ただ、走り出すと、様相はいささか異なってくる。意外なまでにタイヤのパターンのイズが聞こえてくる。とはいえ、ガッカリするのはまだ早い。これは長距離、長時間をクルマの中で過ごせば分かることだが、このパターンノイズは、運転に必要なインフォメーションとして、コントロールされながら残されたものだからだ。風切り音など他の雑音を消したために、タイヤのパターンノイズが相対的に大きく聞こえるという現象。高速道路走行では、かなり静かになっていることを実感する。たとえば、結構な速度域であっても、ナビシートの住人と普通に会話できたりする。体感する車速は、メーター上100㎞/h時で80㎞/hぐらい。120~130㎞/hになってようやく100㎞/hで走っているなという感覚。それほど、実は静かなのである。長距離、長時間走行後の疲れ方は、この高い静粛性ゆえにⅤよりⅥのほうが圧倒的に少ないといえるだろう。
結論は急がないことにしよう。Ⅵについてはまだまだ書きたいことがある・・・。
(Text by M.Ogura)