11月17日、新型ゴルフヴァリアントが日本で発売されました。箱根で開かれた試乗会に参加、さっそくその実力を確かめてきました。

果たして、旧型オーナーが出した結論は!?


新型ゴルフヴァリアントの概要については
そんなわけで、旧型ゴルフヴァリアントTSIトレンドラインのオーナーとしては、かなり甘く見ていたわけですよ、今回の新型を。エンジンやトランスミッションのスペックは同じ、サスペンションも一緒、タイヤも変わらない......ということは、新旧であまり変わってないだろうってね。まあ、モデルイヤーが変わると、印象が良くなるのはフォルクスワーゲンの常ですので、もちろん少しは良くなっているんだろうなぁと思っていましたけど。

今回試乗できたのは、エントリーグレードの「TSIトレンドライン」と売れ筋(!?)の「TSIコンフォートライン」です。まずは愛車の後継モデルにあたる新TSIトレンドラインをチェックします。運転席に着くと、デザインが一新されたインパネが視界に飛び込んできます。ステアリングホイールをはじめ、シフトレバー、パーキングブレーキレバーは革巻きになりました。ゴルフ5の時代から、リクエストし続けてきた甲斐がありました! フロントシートにランバーサポートも付いたし、もう装備に不満はありません......おっと、ひとつだけ忘れてました。TSIトレンドラインにもラゲッジルームに12Vソケットをお願いします!

さっそく走り出すと、えっ、ウチのとはずいぶん感じが違うっ。一番の違いは音。旧トレンドラインは、加速時に結構勇ましい音がキャビンに流れ込んだのと、1500rpm以下で走行中に低くこもる音が耳障りでした。なんとかしてほしいなぁと思っていたオーナーは多いと思います。ところが新型は、無音というわけではないものの、音量がダウンしたうえ、音質も耳障りではなくなっています。ボンネット裏に"サウンドアブソーバー"が付いてましたが、それだけじゃあ、こうは変わらないはず。あとで広報に尋ねると、新型ゴルフヴァリアントにも、ゴルフ6同様、遮音層をラミネートしたフロント合わせガラスが採用されているそうです。インストルメントパネルの変更にあわせて、バルクヘッドまわりの遮音性にも手が入れられているのかもしれません。正直、これは予想外でした。

1.4L TSIシングルチャージャーエンジンは、相変わらず1500rpm以下でも十分な力を発揮し、アクセルを踏めば1.4Lとは思えないほど余裕あるトルクでゴルフヴァリアントを加速します。試乗車はオドメーターがまだ1000km台でしたが、軽く吹け上がる印象で、このあたりに燃費向上の秘密があるのかもしれません。回転計を見ると、レッドゾーンは6000rpmに設定されています。旧型は6500rpmでしたが、実際にマニュアルモードで回してみると、どちらも6300rpmあたりまで回転が上がりました。勢いがあるのは5000rpmあたりまでですが、箱根の登り坂でも十分な速さを見せてくれました。

これがTSIコンフォートラインの1.4L TSIツインチャージャーになると、2000rpm以下の低回転からさらに力強く、そして、5000rpmを超えてもなお勢いが続き、GTIをカモるくらいは朝飯前。低回転時のレスポンスが鋭くなったのも見逃せません。しかも、TSIトレンドライン同様、加速時のノイズがあまり気にならなくなっています。

エンジン以外の部分も洗練された印象です。たとえば、電動パワステのフィーリングが以前よりもしっとり感じられたり、落ち着いた乗り味もさらに磨きがかかりました。ステーションワゴンだからといって、ボディ剛性が足りないとか、空荷のときにリアに落ち着きがないとか、そんなネガティブな部分がないのは先代からの伝統。ハッチバックのほうが軽快感があるものの、トータルで見ると決して引けを取らない仕上がりです。

今回の試乗では、新型ゴルフヴァリアントのレベルの高さを思い知らされました。それでこの値段ですから、ライバルはゴルフ6しかいないでしょう(笑)。

フォルクスワーゲンファンとしてはもちろんうれしい反面、いち旧型オーナーとしては......うらやましい! 旧型オーナーの皆さん、新型ゴルフヴァリアントに関心はあっても、決して試乗はしないように。世の中、「知らぬが仏」ということもありますからね(笑)

(Text by S.Ubukata)