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ゴルフ7で走り始めて、多くの人がまず実感する"新しさ"は、その静かさだ。前述のように、従来型でも最新ライバルにヒケを取らない水準を確保していたと認められるその静粛性。が、そんなゴルフ6と直接比較をしたとしても、ゴルフ7は誰もが「間違いなくより静かになった」と実感できるに違いない仕上がりなのだ。
妙な表現にはなるが、今度のゴルフの際立った静粛性たるや、「もはやゴルフのそれではない」という印象を強く受ける。
さらに、アクセルペダルを踏み加えれば即座に4気筒モードへと復帰をし、たちどころに力強いトルク感を味わわせてくれる。その際に何らかのショックを感じさせられるわけでもなく、フィーリング面も含めた動力性能は、常に高い水準にあるのだ。
静粛性で驚かされた良い意味での"常識外れ"の仕上がりは、走り始めてすぐに誰もが実感ができる乗り味のしなやかさにもあてはまる。
実は今回のテスト車には、オプション設定の電子制御式可変減衰力ダンパー"DCC"が採用されていた。これが、フラット感に富んだ乗り味と優れたボディコントロール性の双方に、さらに拍車を掛ける有力な武器となっていたのは確かだろう。
そんなDCCはスイッチ操作により3段階のモード選択が可能で、『スポーツ』を選ぶと上下動の量は減る代わりにGは強まり、『コンフォート』では逆の傾向に。個人的好みはその中間の『ノーマル』ポジションで、今回のテストドライブでも結局は大半のシーンをこの位置で過ごす結果となった。
ハンドリングの感覚も、動力性能と同様に全般に軽快さが増して感じられた。電動式のパワーステアリングが伝えるフィーリングは、あくまでも自然でスッキリ爽やかなもの。それは、もはや「オーソドックスな油圧式に見劣りしない」というよりも、不快なキックバックはしっかりと遮断をするなど、燃費の有利さのみならずその感触でも「油圧式に勝る」と表現ができる水準にある。
わずかとはいえども全長×全幅サイズが再度拡大された点については、「もうこれ以上1mmでも大きくしないでくれ!」と苦々しく思う人がいるかもしれない。が、それを除けば例え重箱の隅をつつくように探しても「失ったモノは何もない......」と、断言できるのが新しいゴルフなのである。
従来型のモデルライフがわずか4年という、ゴルフ史上でも異例の短さで潰えてしまったのは、『MQB』と紹介されるフォルクスワーゲングループが推進する例の新しいモジュール化プログラムを、"大黒柱"であるゴルフで一刻も早く導入したいという、多分に「メーカー側の都合」に起因した事がらであったのかもしれない。
しかし、それがメーカーの利益のみならずユーザーに対してもより大きな幸せをもたらすとなれば......そこではもはや、そんなタイミングでのモデルチェンジを嘆く理由など何もないのは自明だろう。
(Text by Y.Kawamura)