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実は、ゴルフ7GTIにはふたつのバージョンが用意されている。ひとつは220psの2.0 TSIエンジンを積む標準のゴルフGTI。そして。もうひとつがプラス10psの230ps仕様を搭載する「ゴルフGTIパフォーマンス」だ。
その一方で、「たった10psアップのためにエクストラを払うのか?」と思う人も少なくないはずだ。そのあたりをゴルフGTIの開発責任者、アルベルト・メルッゾウ氏に尋ねたところ......
「ゴルフGTIパフォーマンスは、パワーアップしたエンジンを提供するのが目的ではありません。ダイナミックなハンドリング性能を実現するためのクルマです」
電子制御フロントディファレンシャルロックは、コーナリングなどの際に前輪のどちらかが空転すると、多板クラッチを作動させて駆動トルクをグリップの高いホイールに配分。さらに、コーナー出口で加速する場合、外側のホイールにより多くのトルクを配分することでアンダーステアの軽減を図る、いわゆる"トルクベクタリング"機能を備えている。
ブレーキの強化も見逃せない。標準が前:314×30mmのベンチレーテッドディスク、後:300×12mmのソリッドディスクであるのに対し、GTIパフォーマンスには前:340×30mmのベンチレーテッドディスク、後:310×22mmのベンチレーテッドディスクが奢られる。
フロントのブレーキキャリパーに記された「GTI」の文字が、GTIパフォーマンスの証である。
試乗会の最後にチョイ乗りすると......。3000rpm付近からのトルクの盛り上がりが、標準のGTIよりもドラマティックなのだ。しかも、220ps版の2.0 TSIエンジンよりも、高回転の吹け上がりが一段と力強い。数字だけでは予想できなかったが、エンジンのフィーリングが明らかにスポーティさを増している。
そして、カンジンの走りは、存分に試す機会がなかったものの、ノーマルのGTIに輪をかけてオン・ザ・レールのハンドリングが楽しめる。アンダーステアは顔を出す気配すらなく、コーナー出口で早めにアクセルペダルを踏んでいけるのがいい。
さて、ドイツでのゴルフGTIの価格は、220ps版が2万8350ユーロからであるのに対し、GTIパフォーマンスは1125ユーロ高の2万9475ユーロから。約15万円の差なら、GTIパフォーマンスを買わない理由はない。
ただ、フォルクスワーゲン グループ ジャパンによれば、導入を予定しているのは標準のGTIのみで、現時点ではGTIパフォーマンスは導入するかどうかを検討中とのこと......。
いやいや、GTIパフォーマンスは最初から導入すべきだろう。エクストラを払っても、それ以上の魅力がGTIパフォーマンスにはあるのだから。
(Text by S.Ubukata / Photos by Volkswagen Group Japan)