コンパクトハッチバックとして、ゴルフと並ぶ人気を誇るポロ。これまでは、ベーシックなポロTSIコンフォートライン、装備が充実したポロTSIハイライン、スポーツモデルのポロGTI、そして、クロスオーバーのクロス ポロというラインアップだった。
今回加わったのは、ポロTSIハイラインとポロGTIのギャップを埋めるポロ ブルーGT。スタイリッシュなエクスリアとインテリア、パワフルかつ高効率のエンジン、そして、スポーティな走りが自慢の"究極のポロ"だ。
一番の特徴は、ボンネット下に収まるエンジン。ポロTSIコンフォートライン/ポロTSIハイラインが1.2 TSI(105ps)を搭載するのに対し、このポロ ブルーGTは140psの1.4 TSIを採用する。そう、ゴルフTSIハイラインに積まれる、あのACT(アクティブシリンダーマネジメント=気筒休止システム)付きのエンジンだ。
7速DSGと組み合わされ、スタートストップシステム(=アイドリングストップ)やブレーキエネルギー回生システムなどの採用により、JC08モード燃費は、ポロTSIハイラインの19.4km/L、ポロTSIコンフォートラインの21.0km/Lを上回る21.3km/Lを達成。ポロシリーズでナンバーワンの低燃費を実現しているのだ。
デザインも、これまでのポロとはひと味違う。エクステリアは、一見「ポロGTIか?」と思えるほどにスポーティ。専用デザインのフロント/リアバンパー、フロントグリル、ブラックのドアミラー、リアディフューザー、デュアルエキゾーストパイプ、そして、フロントとリアに配されたGTのバッジが、ポロTSIコンフォートライン/ポロTSIハイラインとの違いを明確にしている。ちなみに、フロントフォグランプが省かれているが、フィン状のカバーに替えることで空気抵抗の低減が図られているのだ。
さらに215/40R17タイヤと17インチホイール、15mmローダウンしたサスペンションが、スポーティな走りを期待させる。
インテリアのグレードアップも見逃せない。
たとえばメーターパネルは、アナログの水温計と燃料系を備える、ポロGTIと同じタイプが採用されている。また、GTのバッジが配されたレザーステアリングホイールも専用のデザインだ。
たとえばメーターパネルは、アナログの水温計と燃料系を備える、ポロGTIと同じタイプが採用されている。また、GTのバッジが配されたレザーステアリングホイールも専用のデザインだ。
そして、室内を彩るのが、ファブリックとアルカンターラのスポーツシート。ブルーとグレーでカラーコーディネートされた専用シートが、このクルマのスポーティさと上質さを強調している。
どちらかというと地味なイメージのポロTSIコンフォートライン/ポロTSIハイラインに対し、ポロ ブルーGTには華やかさがある。これだけでも、選ぶ価値があるだろう。
しかし、ポロ ブルーGTの本当の価値は、その走りにあった。ゴルフよりもコンパクトなボディに、あの1.4 TSIをぶち込んだのだから、つまらないわけがない!
直噴ターボエンジンの1.4 TSIは、1.2 TSIに比べて格段に強力なトルクを低回転から発揮。おかげで、通常の走行なら2000rpm以下でも余裕たっぷり。もちろん、アクセルペダルを少し多めに踏み込めば、「これが1.4L?」と疑うほど、力強い加速を見せてくれる。その気持ちよさは、5500rpmあたりまで続き、それ以降も頭打ち感は少ない。
街中でも、高速の加速でも、隙がないのだ。一方、アクセルペダルを軽く踏むような状況では、ひんぱんに2気筒モードに入り低燃費に貢献。ゴルフTSIハイラインに比べると、2気筒モードでのノイズや振動の高まりが感じられるが、それはあくまで意地悪に観察した場合のことで、気になるレベルではない。
乗り心地は、ポロTSIコンフォートライン/ポロTSIハイラインとポロGTIの中間の味付け。硬めではあるが十分な快適性が確保されている。目地段差を超えるときなどショックを伝えることもあったが、こちらも十分許容できるレベル。それでいて、適度に締め上げられたサスペンションがスポーティなハンドリングと高速での安定感をもたらしている。
ちなみに燃費は、高速を平均80km/hくらいで控えめに流したときが25km/L台! まわりのペースにあわせても、20km/L台は楽勝だ。一方、都内の渋滞でも12〜13km/L台をキープするなど、スポーティな走りと低燃費を見事に両立している。
「スポーティなポロがほしいけど、GTIはちょっと派手だなぁ」と思っていた人や、「ゴルフの新しいエンジンに興味はあるけど、もうひとまわり小さいクルマがほしい」という人には、まさに打ってつけのポロ ブルーGT。価格はポロTSIハイラインより17万円高い263万円(ただし、バイキセノンヘッドライト:12万6000円、ナビゲーションシステム:22万500円はオプション)。
それなりに値段は張るが、実に魅力的に仕上がっているポロ ブルーGT。僕もイチオシだ!
(Text by S.Ubukata / Photos by M.Kobayashi and S.Ubukata)