外観の違いは、トラックエディションのルーフがブラックにペイントされるのに対して、ストリートエディションではボディ同色となること。そして、タイヤとホイールが、トラックエディションの225/35R19+7.5J×19から、225/40R18+7.5J×18にインチダウンされるだけ。
特徴的なバンパーやルーフスポイラー、「CLUBSPORT」の文字が記されるストライプ、ブラックのドアミラーなどはこのストリートエディションにも施されている。
アルカンターラ3本スポークステアリングが装着されるコックピットもほぼ同じ眺め。ただ、ストリートエディションではスマートエントリー&スタートシステム"Keyless Access"が追加されるため、センターコンソールにエンジンのスタート/ストップボタンが配される。
一番の違いは、トラックエディションがセミバケットシートを採用するのに対し、このストリートエディションでは専用のスポーツシートになること。このアルカンターラとファブリックのコンビシートは例のセミバケットシートに比べて多少サイドサポートが控えめなぶん乗り降りが楽になるうえ、クッション性が良いことから快適性が向上している。
この違いは、ドライバー以上に、助手席の同乗者に歓迎されることになるだろう。
パワートレインは、トラックエディションと共通。すなわち、最高出力265ps、最大トルク350Nm(35.7kgm)を発揮する2.0 TSIエンジンと6速DSGが組み合わされる。この2.0 TSIは、ある条件下では約10秒間だけ最高出力が290ps、最大トルクが380Nmとなる"ブースト機能"が備わる。
もちろん、トラックエディションに備わる電子制御の油圧多板クラッチ式フロントディファレンシャルロックやアダプティブシャシーコントロール"DCC"、GTIの文字が描かれたフロントブレーキキャリパー、Φ340mmにサイズアップされたフロントベンチレーテッドディスクも装着される。サスペンションのセッティングもトラックエディションと同じだという。
そんなストリートエディションで走り始めてまず気づくのが、トラックエディションに比べて足元が少し軽快なこと。乗り心地もストリートエディションのほうが快適だ。とはいっても、DCCのおかげでトラックエディションでも十分に許容できるレベルに収まっており、あくまで比較級での話である。
2.0 TSIエンジンは相変わらず威勢が良い。2000rpm以下の低回転でも余裕あるトルクを発揮する2L直噴ターボユニットは、アクセルペダルを踏みつけると一気に勢いを増し、6000rpm超の高回転まで強烈な加速を生み出す。その速さはノーマルのGTIとは別モノで、これが味わえるだけでもクラブスポーツを手に入れる価値はあるだろう。
しかし、クラブスポーツの本当の凄さはコーナーの立ち上がりだ。早い段階でアクセルペダルを踏み込んでいってもほとんどアンダーステアは強まらず、ほぼ狙ったラインを突き進むことができるのだ。サーキットでこれだから、一般道でアンダーステア知らずというのも納得がいく。
しかも、4WDのゴルフRに比べて車両重量の軽いゴルフGTIだけに身のこなしは軽快。まさに、ゴルフ史上最強のハンドリングマシーンということができる。
サーキットではトラックエディションと遜色のない走りを見せたストリートエディション。トラックエディションに続き、このストリートエディションも完売間近ということなので、ほしい人はすぐにディーラーに駆け込むべし!
(Text by S.Ubukata / Photos by T.Kobayashi)