フルモデルチェンジにより、精悍なデザインを手に入れた新型「ティグアン」に試乗。まずは"テクノロジーパッケージ"を装着した「ティグアンTSIハイライン」を試す。
2007年のフランクフルトショーで登場したティグアンは、ドイツのSUVマーケットで9年連続のナンバーワンとなるとともに、日本でも輸入コンパクトSUV市場をリードする存在として重要な役割を果たしてきた。これまでに280万台以上が世界で販売され、日本でも約1万5000台がお客さまのもとに届けられている。

その人気モデルがフルモデルチェンジして2代目へと生まれ変わり、日本でも発売になったことは、
新型ティグアンの概要については前述の
インテリアも水平基調の直線的なデザインを採用する新型ティグアンだが、そのせいもあって横方向にゆとりが感じられる。それでいて、センタークラスターがドライバーに向けられた、いわゆる"ドライバーオリエンテッド"なコックピットのおかげで、ナビゲーションのモニターが見やすいだけでなく、タイト過ぎず、ユルすぎずという居心地の良い空間に仕上げられているのがうれしい。

このティグアンTSIハイラインでは、液晶メーターの「アクティブインフォ ディスプレイ」が標準装着となる。すでにパサートに搭載されるこのメーター、使ってみると案外見やすいし、表示できる情報が多彩というメリットはあるけれど、アナログという選択肢を残しておいてもよかったのではないだろうか。


全長が70mm大きくなり、そのぶんがホイールベースの拡大に充てられただけに、リヤシートの余裕はたっぷり。旧型同様、リヤシートにはシートスライドとリクライニング機能が備わり、シートを後ろに下げればゆったり足が組めるほど広い。反対に、一番前でも大人がなんとか座れるスペースが確保されている。


フロントシートの裏には、リヤの乗員用に格納式のテーブルが用意される。新型ではドリンクホルダーを内蔵。また、テーブルを斜めの角度で固定できるので、タブレット端末などを置くのに便利だ。


エアコンはリヤの温度調整が可能な3ゾーンタイプ。TSIハイラインではフロントシートに加えてリヤシートにもシートヒーターが備わる。12V電源ソケットはフロント、リヤ、ラゲッジルームに用意。リヤ用のUSB端子は充電だけでなく、"MEDIA-IN"としてスマートフォンの接続にも対応する。


ラゲッジスペースは、リヤシートを後ろに下げた状態でも、奥行きが80cm以上確保されている。荷物が多いときにはリヤシートを最大18cmスライドすることが可能で、その状態での容量は615L。これは旧型に比べて145Lも広い。

"モビリティタイヤ"を採用するTSIハイラインにはスペアタイヤもパンク補修キットも車載されないので、ラゲッジフロア下も収納スペースとして活用が可能だ。地上から開口部までの高さは70cm弱とSUVとしては低いため、荷物の積み降ろしも楽になった。


もちろん、リヤシートを倒せば荷室を拡大することが可能。その場合、奥行きは140cm以上になる。さらに助手席を倒せば250cmほどの長尺物を収めることができる。


リヤシートはラゲッジルーム内のレバーでロックを解除することができるので、操作は簡単。ラゲッジルーム内のAC100Vのソケットは全車に標準装着となる。


このように、細部にわたって機能性が向上した新型ティグアン。さらに、「Volkswagenオールインセーフティ」に則り、プリクラッシュブレーキシステム"Front Assist"やポストコリジョンブレーキシステム、アダプティブクルーズコントロール"ACC"などを標準装着。TSIハイラインでは、レーンキープアシストシステム"Lane Assist"や渋滞時追従支援システム"Traffic Assist"も搭載され、その商品力を高めたのは確かだ。

そうなると気になるのが新型ティグアンの走りということになるが、それについては
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by H.Uemura)