VGJが「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」「ザ・ビートル」向けに販売を開始した「レイヤードサウンド カーオーディオシステム」。その特徴とレイヤードサウンド」がもたらす新しい音楽体験について、レイヤードサウンド・セールス&マーケティングの佐藤 大氏と、VGJアフターセールス本部企画課の富内眞悟氏に話を聞いた。 ----「レイヤードサウンド」とは、どんなブランドですか?

(佐藤)
レイヤードサウンドは、アメリカで開発された商品です。カナダ生まれのシェリー・カッツ博士は、ピアノの演奏家であり指揮者ですが、自分が生で弾いた音とスピーカーで聞く音が違うことに疑問を持ったのをきっかけに独自の研究を重ねて、レイヤードサウンドをつくるにいたりました。本格的に日本に登場してから5年ほどということで、まだまだ"知る人ぞ知る"というブランドです。


----従来のカーオーディオとは何が違うのですか?

(佐藤)
もともと装着されているオーディオシステムを生かして、サウンド・ドライバという独自の小型スピーカーと専用のアンプ、そしてON/OFFスイッチを追加することで音をレベルアップするのが特徴です。つまり、標準のカーオーディオを交換するのではなく、それを生かしながら、良い音にとってさらに必要な要素を付け足すという、まさにアドオンタイプの新しいオーディオシステムなのです。


----必要な要素を付け足すというのは、どういうことでしょう?

(佐藤)
レイヤードサウンドの名称そのものがまさに商品のコンセプトです。"layered"は"重ね合わせた"という意味で、従来の直接的な(スピーカーからの)音に、間接的な反響音を加えることで、調和のとれた自然な音をつくりだすというアプローチです。最初にこの説明を聞いたときに、私自身、すぐには理解できませんでした(笑) しかし、実際に音を聞いて衝撃を受けたのをいまでも覚えています。


----そんなレイヤードサウンドをフォルクスワーゲン純正アクセサリーとして採用しようと考えたわけは?

(富内)
ひとつは、正規ディーラーでレイヤードサウンドが買えないだろうか、というお客さまの声が上がっていたことです。お客さまがクルマを買われたあとの楽しみ方を提案していくのが私どもVGJアフターセールスの使命だと考えています。そこで、足まわりのチューニングやインテリア/エクステリアのデコレーションなどのアイテムを充実させてきましたが、サウンドのチューニングという部分がちょうど手つかずでした。


----当然、採用するかどうかを決めるにあたってはレイヤードサウンドをチェックしたと思いますが、どんな印象を持ちましたか?

(富内)
私は小学生のときにバイオリンを始めて、中学、高校、大学と趣味でずっとオーケストラを続けてきました。オーケストラのなかで聞く音は、臨場感というか、そのものなんですよね。コンサートホールに響く前の生音が飛んでくる環境でずっと演奏してきたので、良いオーディオやヘッドホンでCDを聞いても、ライブ感が弱いというか、物足りない。音が小さく、遠くで鳴っている印象になってしまうため、カーオーディオに限らず、満足できるものはなかなかありませんでした。

でも、レイヤードサウンドは、すぐそこにステージがあって楽器の生演奏をしているかのような臨場感、ライブ感、ダイレクト感があって驚きましたね。そして、いままで聞こえてなかった音が聞こえるんです。ふだん聞いている音源を聞いたときに、「こんな音が鳴っているんだ」と気づかせてくれるのが、良いオーディオとの出逢いではないでしょうか。

----採用の決め手になったのは?

(富内)
レイヤードサウンドが、私どもの考え方にすごくあっていたことです。フォルクスワーゲンのキャラクターを変えるものではなく、フォルクスワーゲンらしさをパワーアップさせるものでした。フォルクスワーゲン車の静粛性、密閉性が生み出す音の良さを生かして、それをより聞きやすくしてくれるのです。言い換えれば、フォルクスワーゲンらしさを引き立てるアイテム、あるいは、フォルクスワーゲンの実力をフルに味わうためのアップデートパーツ、といったところでしょうか。

----どんな音楽が合いますか?

(富内)
個人的にはシンプルな音のほうが良いと思っているので、ジャズのピアノトリオだったり、弦楽四重奏であったり、小編成の音楽を聴くと、本当にそばで演奏しているかのような感覚が味わえるので、すごくうれしいですね。しかも、良いサウンドシステムだと、音を大きくしなくても、良く聞こえるということがありますが、レイヤードサウンドもまさにそれで、必要以上に音を大きくしなくても、いままで聞こえなかった音が聞こえるんですよね。レイヤードサウンドと出会って、「ゴルフって実はオーディオルームだったんだ」と感じました。


----サウンドシステムの作り手からみて、フォルクスワーゲンはどんなクルマですか?

(佐藤)
フォルクスワーゲン車は、ボディの剛性や静粛性、遮音性が優れており、車内で音楽を楽しむのに適したクルマです。レイヤードサウンドは、いわゆるズンドンした賑やかな音というよりはナチュラルなサウンドですので、そういう意味では相性は良いと思いますよ。

----レイヤードサウンドシステムにはON/OFFスイッチがありますが、どんなときに使いますか?

(佐藤)
レイヤードサウンドを装着して時間が経つと、スイッチをON/OFFする機会は減ってしまうのですが、このボタンを押すことによって、良い音を求める気持ちにあらためて気づかされるのではないでしょうか。そういう意味で、このスイッチは私たちのこだわりであり、エンジニアの遊び心でもあります。

----便利な使い方もあるそうですね。

(富内)
ハンズフリーで電話が入ったときに、ノイズが増幅されることがあるので、それを消したいときにスイッチをオフにします。


----どんな人に、このレイヤードサウンドシステムを選んでほしいですか?

(富内)
フォルクスワーゲンのお客さまは長距離ドライブが好きな方が多く、そうなると必然的にBGMというのが重要です。そんな移動時間を音楽によってより楽しいものにしたいというお客さまにお勧めしたいですね。私自身も長時間、クルマで移動することが多いので、自分のクルマにもこのレイヤードサウンドがほしいし、装着したらきっと移動時間が楽しくなるでしょうね。

----運転が楽しくなるサウンドシステムですか。

(佐藤)
レイヤードサウンドで運転が楽しくなる、というのはうれしいですね。人によって良い音の基準はバラバラですが、運転が楽しくなる音なんですよね。それは、お客さまにご案内するときに、ぜひとも伝えたい点です。レイヤードサウンドに触れることで、ふだんのドライブがさらに楽しくなるのではないか......そんな、わくわくの伸びしろを感じてもらえたら、うれしいですね。

----これまでに自動車ブランドに純正採用されたことはありますか?

(佐藤)
純正採用は今回が初めてです。レイヤードサウンドの原点が、この臨場感、この音を多くの人に届けたいという、ある種、標準化を目指しているところがありましたので、純正採用はひとつの目標でした。


----フォルクスワーゲンが純正アクセサリーとして採用するメリットは?

(富内)
純正アクセサリーには、安心や保証を求める人が多いのですが、このレイヤードサウンドシステムには2年間の保証が付いていますし、点検で入庫したときにお願いすれば装着できるという気軽さもあります。

----今後の展開は?

(富内)
今回、純正アクセサリーとして販売しているのは2チャンネルのみですが、要望が多ければ4チャンネルの導入も検討したいと思います。また、主力車種のゴルフから始めて、また、音楽への感度が高いお客さまが多いザ・ビートルという2モデルから始めて、ゆくゆくはティグアン、パサート、アルテオンと広げていきたいと思っています。

----ありがとうございました。

(Text by S.Ubukata)