2026年8月26日、Porscheは新たなカスタマーレーシングカー「Porsche 911 Challenge」を発表した。現行「911 GT3」(992.2)の技術を幅広く採用しながら、サーキット走行に必要な安全装備やレーシングコンポーネントを組み込んだモデルで、Porscheのカスタマーモータースポーツにおける新たなエントリーモデルに位置づけられる。価格は20万8800ユーロ。

911 GT3とレーシングカーをつなぐ新たなモデル

911 Challengeの特徴は、市販の911 GT3とレーシングカーの間を埋める存在として開発されたことだ。

2025年8月に発表された911 Cupとは異なり、911 Challengeでは市販の911 GT3の技術を積極的に活用している。エアロダイナミクスをはじめ、7速PDK、レーシングカー用の機能を追加した911 GT3 RS由来のステアリングホイール、さらにエアコンも採用する。

ABSやトラクションコントロール、ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)といったドライバーアシスタンスシステムは介入レベルを調整可能。PTV+(ポルシェ・トルク・ベクトリング・プラス)についても多段階で設定を変更できる。

こうした市販車に近い操作性と電子制御システムを残すことで、レーシングカーに慣れていないドライバーでも比較的スムーズにサーキット走行へ移行できることを狙った。また、車両の運用コストやスペアパーツのコストについても、このモデルの目的にあわせた体系としている。

Porsche Motorsport副社長のトーマス・ラウデンバッハは、「GT3モデルは登場以来、ほかのどのモデルシリーズにも増して、スポーツカーメーカーとしてのPorscheのアイデンティティを形づくってきた。911 Challengeによってその伝統を広げ、新たな顧客層にも911でモータースポーツの魅力を体験してもらえるようになる」とコメントしている。

911 Challengeは2027年シーズンから、世界各地で開催されるさまざまなワンメイクシリーズへの参戦が可能になる予定だ。

911 GT3譲りの4.0L水平対向6気筒+7速PDK

搭載するエンジンは、市販の911 GT3をベースとした排気量3996ccの4.0L水平対向6気筒自然吸気エンジン。最高出力515PS/8500rpm、最大トルク470Nm/6250rpmを発揮し、最高回転数は9000rpmに達する。

リヤサイレンサーはレーシングカー用に変更され、触媒コンバーターを備える一方、パーティキュレートフィルターは装着されない。燃料はオクタン価98以上の無鉛プレミアムガソリンに対応し、E20まで使用可能。FIA Appendix Jに準拠したeFuelにも対応する。

トランスミッションも市販車と同じ7速PDKを基本とする。911 GT3をベースにショートレシオ化されており、ステアリングホイールのパドルによるマニュアル変速に加えて、オートマチックでの変速も選択できる。電子制御式LSDも装備する。

一方、シャシーには911 Cupなどで培われたレーシングコンポーネントを採用。フロントサスペンションはダブルウイッシュボーン式、リヤはマルチリンク式で、車高、キャンバー、トーを調整できる。ダンパーもモータースポーツ専用の特性とし、スタビライザーは3段階で調整可能だ。

18インチの鍛造アルミホイールにはレーシングスリックタイヤを装着する。911 GT4 Rと同様にセンターロックではなく、市販車と同じ5穴式を採用しているのも特徴だ。

ブレーキは前後とも直径380mmのスチールディスクを使用し、フロントに6ピストン、リヤに4ピストンのアルミモノブロックレーシングキャリパーを組み合わせる。

ロールケージや110L安全燃料タンクを標準装備

ボディの基本寸法は911 GT3と共通で、全長4570mm、全幅1852mm、ホイールベース2457mm。車両重量は約1450kgとなる。

エクステリアでは、4段階で角度を変更できるスワンネック式リヤウイングを装備。ボンネットにはクイックリリースファスナーを設け、リヤにはFIA規格に対応するレインライトを追加した。3基のジャッキを使用するエアジャッキシステムも標準装備する。

コックピットは市販車とは大きく異なり、遮音材やカーペット、内装トリムなどを撤去。溶接式ロールケージを組み込み、110LのFT3安全燃料タンク、6点式ハーネスを備えるレーシングバケットシート、消火システムなどを装備する。

さらに、モータースポーツ用のデータを収集するPorsche Logger Unitや、コース上の位置とラップタイムを記録する高精度GPSも搭載する。911 Challengeは公道走行を前提としない純粋な競技車両だ。

Porscheのレーシング911は4モデルに

911 Challengeの登場により、Porsche Motorsportが展開する4種類のGTレーシングカーは、すべて911をベースとするモデルになった。

911 Challengeは、これまでエントリーモデルを担ってきたCayman GT4 Clubsport、そして718 Cayman GT4 RS Clubsportの流れを引き継ぎ、Porsche ChallengeやPorsche Trophyなどのワンメイクシリーズを主な舞台とする。

その上には、718 Cayman GT4 RS Clubsportの直接的な後継モデルとして国際GT4カテゴリーをターゲットとする911 GT4 Rを設定。さらにPorsche Mobil 1 Supercupや各国のCarrera Cupなどで使用される911 Cup、FIA規則に基づく国際GT3レースを戦う911 GT3 Rがラインアップされる。

市販の911 GT3に近い技術と操作性を生かしながら、本格的なレーシングカーとして必要な装備を組み込んだ911 Challenge。Porscheはこのモデルを、911でカスタマーモータースポーツへ踏み出すための新たな入口として位置づけている。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Porsche AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。