2026年3月11日、Porsche AGは、シュトゥットガルトで開催した年次記者会見において、経営体制の再編と製品戦略の強化を柱とする新たな方針を発表した。新CEOのミヒャエル・ライタース氏が主導し、組織の合理化やコスト削減を進めるとともに、将来に向けた製品ポートフォリオの拡充を図る。Porscheは「ストラテジー2035」と呼ぶ新戦略を掲げ、より収益性の高い分野での成長を目指す。
組織をスリム化し製品戦略を加速
Porscheは2025年に開始した会社および製品ポートフォリオの再編を、次の段階へと進める。ライタースCEOは就任後、経営陣とともに事業環境を体系的に分析し、複数の初期対策をすでに実行している。
そのひとつが、中国市場など厳しい環境下で「量より価値」を重視する方針の徹底だ。また、フル電動SUV「Cayenne Electric(カイエン・エレクトリック)」の品質重視の生産体制強化も進めている。さらに経営体制の合理化を図り、階層構造の縮小や官僚的な手続きの削減を進め、コアビジネスへの集中を強める。
ライタースCEOは「現在の課題をより果断に行動するための機会と捉えている。Porscheのポジショニングを徹底的に見直し、会社をスリムでより迅速な組織に変革し、製品ラインアップをさらに魅力的にする」と述べている。
「ストラテジー2035」で高収益分野を拡大
新戦略「ストラテジー2035」では、Porscheのブランド価値を維持しながら高利益率セグメントでの成長を狙う。具体的には、既存の2ドアスポーツカーやCayenneの上位モデルに加え、新たな派生モデルの開発を検討する。
ライタースCEOは「Porscheは卓越した技術を備えたスポーツカーメーカーである。運転する楽しさと情熱を伝える妥協のないスポーツカーを提供していく。これはパワートレインの種類に左右されるものではない」と強調する。
同社はこの戦略により、持続的に強力なキャッシュフローと堅調な業績、そしてポルシェにふさわしい利益率を実現する基盤を構築したい考えだ。
911とCayenne Electricがワールドプレミア
製品面では、2025年に2つの重要なモデルが登場した。9月には「911 Turbo S」の新型がワールドプレミアを迎えた。革新的なツインターボエンジンとTハイブリッド技術を採用し、史上最もパワフルな市販911とされる。
さらに11月には、フル電動SUV「Cayenne Electric」を発表。Porsche史上最大の出力を誇る市販車で、SUVセグメントに新たな基準を打ち立てるモデルと位置づけられる。このモデルは、既存の内燃エンジン仕様やプラグインハイブリッド仕様と並び、同社が進める「パワートレインミックス」戦略の一環となる。
2026年にも、世界の顧客やファンに向けて新たなエモーショナルモデルを発表する予定だという。
2025年は特別費用で利益が大幅減
一方、2025年の業績は厳しい結果となった。グループ売上高は362億7,000万ユーロ(前年比9.5%減)、営業利益は4億1,300万ユーロ(同92.7%減)となり、営業利益率は1.1%に低下した。
主な要因は約39億ユーロにのぼる特別費用で、製品戦略の再調整や企業規模の見直しに約24億ユーロ、バッテリー事業関連の費用に約7億ユーロ、米国の関税関連費用などが含まれる。
販売台数も279,449台と前年比10.1%減となった。ただしBEVの販売比率は22.2%へと拡大し、前年の12.7%から大きく増加している。
2026年も厳しい市場環境を想定
Porscheは2026年についても厳しい市場環境を予測する。中国では高級車市場、とりわけBEVセグメントで激しい価格競争が続くと見られるほか、地政学リスクや米国の関税政策の影響も不確実要因となる。
それでも同社は、2026年の売上高を350億〜360億ユーロ、グループ営業利益率を5.5〜7.5%まで回復させる見通しを示した。自動車部門の純キャッシュフローマージンも3〜5%へ改善すると予想している。
厳しい環境の中で、Porscheは組織改革と製品戦略の強化を通じ、ブランドの競争力と収益力の回復を図る構えだ。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Porsche AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。