2025年9月27日〜28日、FIA世界耐久選手権(WEC)の2025年シーズン第7戦「富士6時間レース」が静岡県の富士スピードウェイで行われた。シリーズ通算100戦目という節目の大会で、ポルシェペンスキーモータースポーツは「Porsche 963」6号車(ローレンス・ヴァンスール/ケヴィン・エストレ組)が3位に入賞。姉妹車の5号車(ジュリアン・アンドラウアー/マシュー・ジャミネ組)も4位に入り、11月8日に予定されるシーズン最終戦バーレーン8時間に向けて逆転タイトルの可能性を残した。

グリッド17番手からの快走

6号車のヴァンスール/エストレ組は、予選で不運に見舞われ17番手スタートとなった。レース序盤、スタートを担当したヴァンスールは30分で10ポジションを挽回する攻めの走りを披露した。しかし、ライバル車との接触でリヤウイング交換を余儀なくされ、大きく後退。1時間強を経てエストレに交代したが、イエローフラッグやフルコースイエローに阻まれ思うように順位を上げられない時間が続いた。

勝負どころは残り2時間。再スタートでエストレは一気に7位から2位に浮上する力走を見せ、場内を沸かせた。だがピット作業でのミスにより5秒のペナルティを科され、順位を3位に落とした。その後、再びヴァンスールが最終スティントを担当し、プジョー93号車に猛アタックを仕掛けたが、わずかの差で逆転ならず3位でチェッカーを受けた。

レース後、エストレは「かなり後方からのスタートだったので、3位は良い結果です。この結果を誇りに思います。もう少し順位を上げることができたかもしれませんが、プジョーとアルピーヌはストレートで速すぎて追い抜くことができませんでした。今日はできる限りのポイントを獲得しました」と振り返った。

5号車は追い上げも表彰台に届かず

7番手からスタートした5号車は、序盤で2ポジションを上げる順調な立ち上がりを見せた。しかし、セーフティカーの導入やドライブスルーペナルティにより中盤で順位を落とし、苦しい展開を強いられた。それでも終盤にジャミネが気迫の走りを見せ、12位から4位まで追い上げた。

LMDh責任者のウルス・クラトレは「昨日の予選の後では、3位と4位でも喜んで受け入れたでしょう。これは堅実で力強い結果です。チャンピオンシップ2位争いでキャデラックから重要なポイントを奪い返すことができました。ドライバーとチームは素晴らしい仕事をしてくれました」と語り、手応えを強調した。

カスタマーチームも存在感を示す

カスタマーチームのプロトンコンペティション(99号車)は、セーフティカー導入のタイミングを生かし、ニコ・ピノ、ニコ・ヴァローネ、ニール・ジャニの3人が一時首位に浮上する快走を見せた。最終的には12位でフィニッシュしたものの、独立系チームとして確かな存在感を示した。

LMGT3クラスではマンタイが首位を守る

LMGT3クラスでは、マンタイファーストフォームが「ポルシェ911 GT3 R」で5位入賞を果たし、シリーズ首位を死守した。ライアン・ハードウィック、リカルド・ペラ、リヒャルト・リーツのトリオは、序盤で後退しながらも中盤以降トップグループに復帰。終盤には表彰台争いに絡む場面もあったが、最後のセーフティカーにより5位に終わった。それでもドライバーズランキングでのリードを維持し、最終戦に臨む。

また、女性ドライバーで構成されるアイアンデイムズ(85号車)は、セリア・マルタンがスタート直後に10ポジション近くを挽回。ラヘル・フライ、ミシェル・ガッティンとともに一時はトップに立つ走りを披露したが、ペナルティとセーフティカーに泣き13位でのフィニッシュとなった。

レース結果(抜粋)

【ハイパーカークラス】
1位 アルピーヌ #35(シャティン/ハプスブルク/ミレシ)202周
2位 プジョー #93(ディ・レスタ/ジェンセン/ベルニュ)+7.682秒
3位 ポルシェ963 #6(エストレ/ヴァンスール)+8.167秒
4位 ポルシェ963 #5(アンドラウアー/ジャミネ)+16.083秒
12位 ポルシェ963 #99(ジャニ/ピノ/ヴァローネ)+1分14.826秒

【LMGT3クラス】
1位 コルベット #81(ヴァン ロンパイ/アンドラデ/イーストウッド)185周
2位 フェラーリ #21(ヘリアウ/マン/ロベラ)+3.010秒
3位 BMW #31(シャヒン/ボグスラフスキー/ファルフス)+4.888秒
5位 ポルシェ911 GT3 R #92(ハードウィック/ペラ/リーツ)+8.697秒
13位 ポルシェ911 GT3 R #85(マルタン/フライ/ガッティン)

最終戦バーレーンに向けて

今回の富士でPorscheは表彰台を獲得し、チャンピオンシップ争いでキャデラックとの差を縮めることに成功した。LMGT3でも首位を維持し、二つのカテゴリーでのタイトル獲得が視野に入っている。シーズン最終戦となるバーレーン8時間レースは11月8日に開催される。灼熱の中東で迎える決戦で、Porscheが逆転で王座に就くことができるのか、注目が集まる。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Porsche AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。