2025年9月上旬、PorscheとAudiは北米におけるEVオーナーの充電環境改善に向けた新たな施策を発表した。両社のEVのオーナーは、Teslaのスーパーチャージャーネットワークのうち23,500基以上のNACS(North American Charging Standard)対応急速充電器の利用が可能になる。これにより、北米市場のEVユーザーにとって利便性が大幅に向上するとともに、北米での充電規格統一の動きにドイツ高級車ブランドも加わる形となった。
Porsche:アダプター無償配布で幅広い対応
Porscheは9月9日から「Porsche NACS DC Adapter」を介してTeslaスーパーチャージャーを利用可能にする。初期段階ではTeslaアプリを用いて充電を開始するが、今後は「My Porsche」アプリやPlug & Charge機能によるシームレスな利用が予定されている。
アダプターは2026年モデルの「Taycan」と「Macan Electric」に標準装備され、2025年モデルのTaycanおよび既存のMacan Electricオーナーには無償配布される。2024年以前のTaycanオーナーは185ドルで購入可能であり、幅広いユーザーに対応する体制を整えている。
Audi:新型e-tronに順次適用
Audiも9月9日から「Audi NACS DC Charging Adapter」を提供し、Teslaスーパーチャージャーへのアクセスを開始する。対象は2025年モデルの「Q6 e-tron」「A6 Sportback e-tron」「e-tron GT」で、これらはディーラー到着時点でアダプターが搭載されることになる。
AudiオーナーはTeslaアプリを利用して充電を開始する必要があり、既存モデルへの対応や「Q4 e-tron」の互換性については今後発表される予定である。これにより、Audiオーナーは既存のElectrify Americaの約5,000基とあわせて、合計28,000基を超える急速充電器を利用できるようになる。
北米で進むNACS標準化の潮流
今回の両社の発表は、北米で急速に進むNACS標準化の流れを追うものだ。NACSはTeslaが独自に開発した充電規格だが、2022年に仕様が公開されて以降、GMやフォードをはじめとする大手自動車メーカーが相次いで採用を表明。米国の主要充電事業者もNACS対応を拡大しており、事実上のデファクトスタンダードとなりつつあり、、CCS(Combined Charging System)からNACSへの移行は不可避との見方が強い。今回のAudiとPorscheの対応は、フォルクスワーゲングループとしてNACS標準化の流れに本格的に歩調を合わせる動きともいえる。
NACS対応の狙いは
両ブランドの発表は、顧客に多様な選択肢を提供し、EVオーナーシップ体験を向上させる点で一致している。高級車市場においては、航続距離や充電インフラへのアクセス性がブランド価値を大きく左右する。特に北米ではTeslaのスーパーチャージャーネットワークが最も広範に普及しており、これを活用できることはユーザー満足度の向上につながる。
PorscheとAudiによるNACS対応は、EVインフラの共通化を後押しし、EV普及の加速に貢献する可能性が高い。一方で、Teslaアプリを介した決済が必要であるなど、完全な統合には時間を要する点も残されている。両社は今後、自社アプリとの連携やナビゲーション機能のアップデートを進め、よりシームレスなユーザー体験を提供する方針だ。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Porsche USA, Audi USA)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。