2025年9月4日、Porsche AGは新型「Cayenne Electric」に搭載予定の新技術「Porsche Wireless Charging」を発表した。
スマートフォンなどで普及したワイヤレス充電を電気自動車向けに展開するもので、11kWの出力と最大90%の効率を実現。2025年9月9日からミュンヘンで開催される「IAAモビリティ2025」において、特殊な発光塗料を施したカモフラージュ仕様の試作車とともに初公開する。新型Cayenne Electricの正式発表は2025年末に予定されている。
11kWに対応 基礎充電の利便性を向上
新方式は駐車場に設置する床置き型プレートを用いるのが特徴で、壁掛け式のウォールボックスを必要としない“ワンボックス”構造を採用。車両側にはフロントアクスル間のアンダーボディに受電ユニットを搭載し、駐車位置にあわせて自動的に車高を下げることで、数cmの距離を隔てた非接触充電が可能となる。
充電開始は駐車ブレーキをかけるだけで、アプリ「My Porsche」から進行状況の確認や複数車両の認証も行える。
充電プレートは117×78×6cmのサイズで重量は約50kg。屋外設置にも対応し、雨雪や車両の乗り上げにも耐える堅牢性を備える。TÜV Südの試験を含む各種テストを経ており、欧州CEおよび米国UL規格に適合。初期導入は2026年に欧州市場で始まり、その後グローバルに展開される見込みである。
Porscheによると、電動モデルの充電の約75%は自宅で行われているという。今回のワイヤレス充電導入は、利便性を高めることでEVの普及を後押しする狙いがある。Porsche開発担当役員のミヒャエル・シュタイナー氏は「電気自動車の普及には日常での使いやすさと充電インフラが鍵になる。シリーズ生産でワイヤレス充電を導入できることを誇りに思う」と述べている。
新型Cayenne Electricはワイヤレス充電だけでなく、経路充電時の利便性を高める高出力DC充電(急速充電)にも対応する。最大400kWというクラス最高水準の急速充電能力を備え、既存の「Macan」(最大270kW)や「Taycan」(最大320kW)を上回る性能を実現する。これにより「Porsche Charging Lounge」などの高速充電ステーションで短時間に電力を補充できる。
IAAで発光ペイントのプロトタイプを展示
ミュンヘンのIAAモビリティでは、スタイル・ポルシェが手がけた特別な発光塗料を施したプロトタイプが展示される。電流が流れると発光する特殊塗料で、青から紫にかけての5色を自在にコントロールできる。導電性プライマーや絶縁層、発光材など25層以上の塗膜に加え、15層以上のクリアコートを重ねた高度な仕上げで、100Lのクリア塗料と500m以上の配線が使用されているという。
Cayenne Electricの正式発表は2025年末を予定しており、Porsche Wireless Chargingの販売は2026年から開始される。車両オプションとしてワイヤレス充電対応装備を選択でき、専用フロアプレートはポルシェセンターやオンラインショップで購入可能となる見通しだ。
PorscheはすでにTaycanやMacan ElectricでEV技術を先導してきたが、今回のCayenne Electricでは利便性と先進性を一層強調。新しい充電体験を提案することで、プレミアムEV市場における存在感を高めたい考えだ。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Porsche AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。