フェルディナント・ヤマグチでございます。スミマセン。何かとバタバタしておりまして、ちょっと間が空いてしまいました。

ご無沙汰しております。フェルディナント・ヤマグチでございます。夢のガレージライフを目論んでおりますが、実現にはたくさんの障壁があるのも世の常でして……。

いや実はですね、自宅の横に新たに土地を買い足して、建て替えをする計画が持ち上がっておりまして......。

土地も建物も今の倍近くになりますから、クルマもバイクも好き放題に置いて楽しめる夢のガレージライフを目論んでおるのですが、しかし夢の実現にはたくさんの障壁がある。

これらを根気よくコツコツ潰していかなくてはならないので、何かと手間がかかりまして......と、言い訳は大概にしてポルシェの話と参りましょう。

実は今、空冷ポルシェを買うことを躊躇するような2つの理由があり……。今回はそのエピソードをご紹介いたします。

「空冷を買う」と意気込んだのは良いものの、実は少々腰砕けになっております。

理由は2つ。1つ目は「空冷で散々な目に遭っている。よほどの覚悟がない限り乗るものじゃありません」と強く主張する方と知り合ったから。

某広告代理店勤務だったこのお方、独立されて新たに会社を起こして大成功。昔から憧れだった空冷ポルシェを買おうと思い立った。特段のコネもなかったので、所謂ポルシェ専門店に行き、店の人と話をして「いまの在庫で一番のお勧めはコレ」なるクルマを言われるがままに購入。

「予算を200万円ほどオーバーしましたが、後でトラブることを考えたら、多少の初期費用オーバーはやむなし、と考えたのです」。

「空冷で散々な目に遭っている。よほどの覚悟がない限り乗るものじゃありません」と語る、空冷ポルシェオーナーさん。

質実剛健のポルシェとは言え、古いクルマを買うのですからね。これくらい慎重になった方が良いのでしょう。

しかし彼の慎重姿勢も虚しく、購入から2ヶ月後には見事にエンコ。それからあちらが壊れこちらが壊れと、まるでトラブル見本市のような状態となり、購入後2年で修理費用が車両購入価格を上回るという為体。

日本国内で販売されていた最終型の993でももはや26年落ち。古いクルマとなってきたことは確かです。とはいえ……。

「そこまでお金を掛けたのなら、もうトラブルは出尽くしたでしょう」と私が慰めを込めて問うも、彼は「いや......」と苦々しい表情で首を振ります。そして「まだ出るんですよ」と。

アドバイス通りに店一番と主張するクルマを買ったのです。いくら何でも酷すぎやしませんか?と店に交渉すると、「だってお客さん、30年前のクルマですよ。国産車ならバラバラになってますよww」とにべもない。「古くからある“専門店”で在庫も豊富。ここなら安心だろうと信じた自分が甘かったです。フェルさん、空冷選びは店選びですよ」と。

運が悪かったと言ってしまえばそれまでですが、こんな恐ろしい話を聞くとさすがに腰が引けます。

空冷ポルシェ選びは店選び。「最新は最良」に匹敵する格言かもしれません。

として2つ目は、この猛暑により周囲の空冷乗り諸兄がみな冬眠ならぬ夏眠状態に入っていることです。暑い中を訪ねて「空冷は夏に乗らないものなんですか?」と聞くと、みなさ呆れた顔をして異口同音に「当たり前じゃないですか」とシレッと言う。

最終型の993でさえ基本エアコンの効きが悪い。まあまあ効いたとしても、エンジンへの負荷が高いから真夏の昼に乗るものではない。どうやらこれが通性のようなのです。

そういえば先日、猛暑日の首都高で窓を全開にして走る993オーナーさんを見かけました(編集担当談)。

ウチにはハイエースがありますから、夏の間はこれに乗っていれば良いのですが、それにしても「夏に乗れないスポーツカー」ってどうなんでしょう。

真夏の海辺をスカッと飛ばしたいですものね。

なんてウジウジしている間にさらに価格は高騰するし、いったいどうしたら良いのでしょう。

継続して中古市場をウォッチしてはいるのですが、先に買うのは「最後の純エンジン車」と噂される後期型の992かな、なんて考えております。

「空冷選びは店選び」よりも「最新は最良」の方が筆者には合っている気がしています。

(Text by Ferdinand Yamaguchi)