ポルシェ911に乗るという行為自体、かつては現代のそれとは比較にならないほど、選ばれた人だけが足を踏み入れることを許された特別な領域でした。
いまや、SUVからEVまで幅広いラインナップを展開するポルシェ。そのなかでも911はポルシェを代表するシンボル的な存在であり、さらに「911 Turbo」ともなれば、いまも昔も別格の存在であることに変わりはありません。
かつてポルシェの神様と呼ばれたその人は「Turboは人間には御しきれない。戦車だよ」と評したそうです。いつの時代も、911 Turboは「御する」という表現が相応しいクルマといえます。
そんな911 Turboも、近年ではテクノロジーの進化とともに扱いやすくなっている「ような気がする」のも真実。しかし、それはあくまでも世を忍ぶ仮の姿。電子デバイスをオフにしたとたん、本来の獰猛さが解き放たれ、文字通り並みのドライバーでは御しきれない「戦車」と化すのです。
さて、高感度な多くのクルマ好きがその存在を知っているあるであろう、国内初コレクタブルカーの共同所有サービス「RENDEZ-VOUS(ランデヴー)」。これまでフェラーリ テスタロッサや365 GT4 BBをはじめ、さまざまな名車の共同所有サービスを展開してきました。
そんな同社が、去る4月14日〜16日まで幕張メッセで開催されていた「オートモビルカウンシル2023」会場に展示したクルマこそ、20年以上、ガレージのなかで眠っていたワンオーナー、フルオリジナル、走行距離3万km台の1975年製ポルシェ911 Turbo。
911のなかでも特別な存在であるTurbo。さらに「日本正規輸入第1号車」ともなれば、由緒正しきヒストリーを持ち、もはや文化財としての価値をも兼ね備えた貴重な個体といえます。
この911 Turboは、会場内に展示されたほぼすべてのクルマが美しく磨き上げられていたなかで、おそらくはほぼ唯一、埃をかぶり、異彩を放つ姿が印象的。
もちろんこれには理由があります。この由緒正しき911 Turboのレストアプロジェクトの一員としての会員募集のため、だからです。代表の浅岡氏によると、この911 Turboは当時の総輸入ディーラーのメカニックたちの手によって現代によみがえらせるのだとか。
レストアの過程を「いちオーナー」として進捗状況を見守り、完成のあかつきには他の共同オーナーたちとその晴れ姿を祝う。そして、自らのドライブで公道に解き放つ権利が得られるのです。
しかも、完成後に配られる予定だというレストアブックには、共同オーナーの名前が刻まれる予定とのことで、それはまさに「歴史の立会人としての証」を手に入れることと同義です。
20年以上前、つまり平成の多くの時間を眠りに費やし、令和の時代に再び人々の前に現れたこの911 Turbo。眠りから覚めてみると、世は空冷911バブル。さらに、近い将来、純内燃機関を心臓部に持つ911の新車が手に入れることができなくなるかもしれない……というほど、自身を取り巻く環境の変化に驚いているかもしれません。
5年前でも、5年後でもなく、2023年のこのタイミングで、眠り姫であった1975年製ポルシェ911 Turboをよみがえらせるプロジェクト。いち個人が走行可能な状態にレストアする、さらには修復にあたってオリジナルの姿を損なうことなくよみがえらせる名工に託すともなれば、相当な費用と人的なネットワークを駆使する必要があります。今回、その必要はありません。すでに「お膳立て」はすでに整っているのですから。
他人事でも、夢物語でもなく、当事者として、少しでも現実的な「共同オーナー」という形で世に問うた浅岡氏や山田氏をはじめとする「RENDEZ-VOUSの皆さんの心意気」に共感し、賛同するまたとない機会といえるのかもしれません。
Porsche / 911 Turbo 3.0
●その他の権利
・レストア中の整備進捗レポート
・完成時にレストアブックプレゼント
・納車式への参加権利
・売却額の分配
・売却時の優先購入権利
●車両購入費:¥4,525,000
●維持管理費:¥425,000
●合計(税込):¥5,950,000
*詳細はこちら
https://app.rendez-vous.tokyo/cars/930turbo-202304
(Photo & Text Toru Matsumura)