ポルシェE-マカンとその兄弟モデルのための新しいプラットフォーム「電気プラットフォームPPE」でポルシェはリードしたいと考えている。激しい競争が繰り広げられる中、アメリカの小さなスタートアップが、すでに技術的に先行しているのだ!

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

ポルシェが未来に触れるとき、彼らは1900年、世界初のハイブリッド・ホイールハブモーター・50kmの航続距離を持つ「ローナーポルシェ ゼンパーヴィヴス」を語る。その行間から、言葉が聞こえてくるようだ。電気駆動は、カリフォルニアや中国の新興企業が自動車を再発明しようと考える100年以上前に、若き日のフェルディナンド ポルシェが開発したものなのである。

2022年秋:ポルシェが北イタリアに招待し、「タイカン」や「ケイマンE-ハイブリッド」の次に来るものを見せてくれた。ポルシェはこれを「Next Level E-Performance」と呼んでいる。世界のどのメーカーよりもガソリンエンジンを標榜するスポーツカーメーカーが、新しい時代への一方通行に変わってから久しい。振り返る可能性もなく、だ。

2025年、つまりあとおよそ2年あまりで、ポルシェの半数が電動化(純電動またはプラグインハイブリッド)される予定だ。そして、2030年には、10台のうち8台が完全に内燃機関を持たない車になるという計画だ。それは、時間的にも、技術的にも、感情的にも、長い道のりだ。

ポルシェの技術者たちは、密室で、純粋な電動スポーツカーは、まだ内燃エンジンができることのすべてを賄えないと認めている。これは10年後まで続くだろう。

ポルシェはPPE電動プラットフォームを展開する

そこでポルシェは、「PPE」と呼ばれる新しい電気プラットフォームによって、自らの位置を再定義する必要があった。また、グループのアウディも、将来のe-modelにこのプラットフォームを使用する予定だ。「PPE」は、低コストで大量に生産できるため、自動車を安くすることができる。

新しいPPE電動プラットフォームは、ポルシェ車を技術的に最新のものにすると同時に、より低価格にすることを目的としている

技術データは最新のものだが、ポルシェをポールポジションに据えるものではない。800ボルトのアーキテクチャー、約270kWの充電能力、容量100kWhのリチウムイオン電池、最大585kmの航続距離、システム出力450kW(612馬力)だ。双方向充電などの機能?それはまだだ。

競争はすでに始まっている:ルーシッド エア、VWの開発者を感心させる

米国の新興企業ルシッド(Lucid)のような新しい競争相手は、すでにそれ以上のことが可能だ。「ルシード エア」セダンは、間もなくVWグループによって分解され、綿密に調査されることになっても不思議はない。何しろ「このクルマには面白い特性がある」と、開発担当役員のミヒャエル シュタイナーが素直に認めているのだから。

ポルシェの開発担当役員であるミヒャエル シュタイナーは、新しいeプラットフォームに賭けている

そして、トップは電気自動車の「マカン」の市場投入の遅れにつながったソフトウェアの問題を否定しているわけではない。また、「PPE」プラットフォームを採用するコンパクトSUVは、早ければ2024年初頭の登場となりそうだ。

ポルシェE-マカンは、ソフトウェアの問題で2024年まで延期されることになった

しかし、ポルシェの顧客は、長い間、この文化の変化に対応してきた。「タイカン」の成功がそれを示しており、すでに10万台が生産ラインオフしている。最初のクルマは今、ソフトウェアのアップグレードを行っているが、そのためにはワークショップに行かなければならない。

2023年型ポルシェ「タイカン」のファーストドライブ

2023年モデルの「タイカン」は、ショートドライブで試乗することができた。アシストシステムの改良に加え、航続距離も10%近く伸びたという。「タイカン GTS」では、理想的な天候の下、「通常」走行モードで60kmのラップを走行した際の電力消費量は、100kmあたり21.3kWhだったそうだ。このようなスポーティなセダンとしては良い値だが、決して息を呑むようなものではない。

ポルシェの次期電動モデルは、「718(ケイマンとボクスター)」と「カイエン」という息を呑むようなモデルだ。ポルシェが純粋な電気自動車バージョンにまだ慣れていないのは、「911」だけであることが目立つ。

ワンオフ:1000馬力超のポルシェGT4ケイマンeパフォーマンス

そして2026年には、もう一台の大型クロスオーバー/SUVが計画されており、その時は「SSP」と呼ばれる新しい電気プラットフォームをベースにする予定だ。「SSP」電気プラットフォーム電動ポルシェは、早ければ2023年にその姿を見ることができるようになるだろう。

(Text by Hauke Schrieber / Photos by Porsche AG)