ポルシェの電動スポーツカー「Taycan」のクロスオーバーモデル「Cross Turismo」を試乗。その魅力をチェックした。

Taycanが4ドアクーペデザインを採用するのに対して、このTaycan Cross TurismoはSUVのイメージを採り入れた“シューティングブレーク”(ステーションワゴン)スタイルをまとうのが特徴だ。

その概要は上記の記事をご一読いただくとして、今回試乗したのはエントリーグレードの「Taycan 4 Cross Turismo」。前後各1基の電気モーターにより4WDを構築し、最高出力280kW(380ps)、オーバーブースト時350kW(476ps)を発揮する。バッテリー容量は93.4kWh(正味83.7kWh)で、TaycanやTaycan 4Sではオプションの大容量“パフォーマンスバッテリーPlus”が、このTaycan 4 Cross Turismoには標準で搭載されることになる。

試乗車にはオプションの“オフロードデザインパッケージ”が装着され、これにともない最低地上高が10mm(mediumレベル時)高くなっている。

まずはラゲッジスペースを覗いてみる。Taycanと異なり、大型のテールゲートを持つTaycan Cross Turismoは開口部が大きく、荷物の出し入れが格段にしやすくなっている。リヤパーセルシェルフ下のサイズはTaycanとほぼ同じだが、いざというときにはより多くの荷物を詰め込めるのもうれしい点だ。

ルーフラインが伸ばされたデザインのおかげで、後席のヘッドルームにも余裕がある。身長168cmの私の場合、Taycanのヘッドルームが約10cmであるのに対し、このTaycan Cross Turismoでは約15cmと約5cm拡大しており、私より長身の乗員でも窮屈な思いをせずに済むはずだ。

さっそく走らせると、Taycan 4 Cross Turismoはシリーズのなかではエントリーグレードとはいっても、最高出力280kW(380ps)のパワーは2.3トン強のボディを軽々と加速させるには十分の実力。どんなシチュエーションからでも余裕ある加速が楽しめるのだ。スムーズかつ静かに速度を上げる様は、まさに電気自動車ならではの新感覚で、これに慣れてしまうと内燃機関には戻れなくなるかもしれない!?

Taycanよりも20mm、オフロードデザインパッケージのおかげでさらに10mm最低地上高が上がったこのTaycan 4 Cross Turismoだが、その影響は最小限で、落ち着いた挙動を示すのは見逃せない。一方、その走りは全高や最低地上高の高さを感じさせないスポーティなもので、コーナリング時の接地感も高く、安心してアクセルペダルを踏んでいくことができる。

オフロードテイストのTaycan 4 Cross Turismoであっても、ポルシェのスポーツカーの一員であることは確かである。

ちなみに、Taycanの第3のボディバリエーションとなる「Sport Turismo」は、いまのところ日本導入の予定はないそうだ。

(Text & photos by Satoshi Ubukata)