イタリア発のスポーツホイールのトップブランド「OZ Racing」。F1やWRCといった世界最高峰の舞台で鍛えられながら、ストリートでも高い支持を集め続けてきたその理由を、オーゼットジャパン代表・内山晶弘氏へのインタビューをもとに探っていきます。第3回は、2026シーズンからOZが復帰するF1について話を伺いました。
写真:石橋道尚 Michinao Ishibashi
F1におけるホイールは、タイヤほど話題になりにくい存在かもしれません。しかし、内山代表の話を聞くと、ホイールが「勝つための部品」であることを強く実感します。とくにF1用ホイールは、見た目だけではわからない“内側”に技術が詰まっているといいます。
内山代表が印象的に語ったのは、F1ホイールの内側形状の複雑さでした。一般的なホイールは左右対称で規則性のある形を想像しがちですが、F1ではそうした常識が通用しないケースもあるそうです。内部の造形は撮影も難しく、実際に見た人でなければわからない領域がある。加工に24時間以上かかることもあり、チームによっては中空化するなど、目的に応じて個別に設計されているといいます。
なぜ2026年に「復帰」なのでしょうか。背景として語られたのが、供給体制の変化です。2022年から2025年までのF1では全チームが共通のワンメイクホイールを使用していました。しかし、2026年からは、チームが選べるようになりました。ワンメイクの時代にはチーム側の不満もあったといい、自由度が戻ることで現場は前向きになるという空気感が伝わってきました。
とはいえ、OZが供給するからといって、必ずしも派手に“見える”わけではありません。18インチ化以降、ホイールはカバーされ、ロゴやデザインが目立ちにくい状況も続きました。そこで内山代表は、「宣伝になりにくい分、よりパフォーマンスを上げる方向でやっている」と語っています。つまり、見えにくい時代だからこそ、機能で勝負する――サプライヤーとしての矜持がそこにあります。
もうひとつ重要なのは、OZが“スポンサー”ではなく“サプライヤー”として関わる点です。技術と製品を供給し、ビジネスとして成立させる。F1の現場が年々シビアになるなかで、その距離感も変わってきたといいます。華やかな世界の裏側では、供給責任と生産能力、契約条件が重くのしかかるのが現実です。
ワンメイク以前の時期には、OZは名だたるチームにホイールを供給し、その勝利を支えてきた歴史があります。それだけに、2026年からのF1新レギュレーションによりホイール供給がオープン化された瞬間、全チームがOZからの供給をリクエストするという事態となり、その圧倒的な技術力と信頼性の高さが証明されましたが、結果的には生産キャパシティや各種条件の制約により、全チームへの供給は叶わず、供給先は限定される形となりました。
実際、復帰初年度の2026年にOZが供給するのは、「オラクル・レッドブル・レーシング」など5チーム程度になるそうです。F1日本GPでの勝利をOZが支えることが期待されます。
写真:石橋道尚 Michinao Ishibashi
次回は、レースで鍛えたブランドが、なぜ市販車向けホイールでも世界的な支持を得ているのか――内山代表が語る「世界で愛される理由」を掘り下げます。
OZ Racingについて
F1をはじめ、WRC、WECなど、モータースポーツのさまざまなカテゴリーにホイールを提供し、数々の勝利を支えてきたOZ。そこで培ってきたテクノロジーとイタリアの芸術的なデザインが融合するOZのホイールは、ヨーロッパはもちろんのこと、世界で、そして日本でも数多くのファンから支持されている。
OZ公式サイト:https://www.ozracing.com/jp/
(Text & Photos by 8speed.net Editorial Team)