2026年2月19日、AUDI AGは、RSモデルとしては初のPHEV(プラグインハイブリッド車)となる新型「Audi RS 5」を発表した。生産はドイツ・ネッカーズルム工場で行われ、欧州では2026年第1四半期に受注開始、同年夏からデリバリーが始まる予定である。
新型Audi RS 5は、従来のRSモデルが培ってきた内燃機関のパフォーマンスに電動化技術を融合させた新世代のRSモデルだ。2.9L V6ツインターボと高出力モーターを組み合わせ、最大470kW(639PS)、最大トルク825Nmという強烈なシステム出力を実現。0-100km/h加速は3.6秒に達する。
2.9L V6ツインターボ+130kWモーター
新型Audi RS 5のエンジンは、改良型2.9L V6 TFSIツインターボ。最高出力375kW(510PS)を発生し、従来型より44kW向上している。
最大の特徴は、パフォーマンスと効率を両立するための徹底した改良にある。吸気バルブを早閉じするミラーサイクルを採用し、部分負荷域での効率を向上。さらに可変ジオメトリーターボチャージャーを組み合わせ、高過給かつ低損失の吸排気経路を実現している。
吸気系は設計が見直され、可能な限り短く抵抗の少ないレイアウトを追求。RS 5として初めて水冷式インタークーラーを採用し、高負荷時でも吸気温度を低く保つことで安定した出力を確保する。
燃料噴射圧の引き上げも行われ、より精密な燃焼制御を実現。結果として、高負荷域では従来比で最大20%の燃費改善を達成したという。
エンジンに組み合わされるのが、130kW(177PS)、460Nmを発生する高出力電気モーターである。
モーターは8速ティプトロニック内に統合され、発進時の即応性を大幅に高める。システム総出力は470kW(639PS)、最大トルクは825Nmに達し、0-100km/h加速は3.6秒。
電気モーターはスターターモーターの役割も担うため、12Vスターターは不要となった。これによりレスポンス向上と軽量化を同時に実現している。
バッテリー容量は25.9kWh(実容量22kWh)。トランク床下に配置され、最大84kmのEV走行が可能である。
改良されたセルにより、低残量時や極端な温度条件下でも出力低下が抑えられる設計となった。さらに最大8kWをトルクベクタリング用モーターへ供給し、電動制御と走行ダイナミクスを密接に統合する。
AC充電は最大11kWに対応し、約2.5時間で満充電が可能。
興味深いのは、RS専用モード時のSoC制御である。
・Dynamicモードでは20%以下に低下させない
・RS sportおよびRS torque rearでは90%を維持
これにより、常にフル電動アシストとトルクベクタリング性能を確保する設計となっている。
システム総出力470kWのパワーはトルクコンバーターを備える8速ティプトロニックを介して路面へ伝達される。ギヤ比はクロスレシオ化され、負荷状況に応じたシフトロジックを採用。回転質量低減により変速レスポンスも向上している。
センターデフは70:30から15:85まで前後トルクを可変配分。さらにプリロード機構により常時部分ロック状態を維持し、ターンイン性能と加速応答を高めている。
世界初の電気機械式トルクベクタリング
新型Audi RS 5最大の技術的ハイライトは、「quattro with Dynamic Torque Control」と呼ばれる新世代4WDシステムである。リヤトランスアクスルに電気機械式トルクベクタリングを搭載し、市販車として世界初の構成を実現した。
8kWモーターをアクチュエーターとして用い、わずか15ミリ秒で最大2000Nmもの左右輪トルク差を発生可能。制御ユニットは200Hz(5ミリ秒ごと)で最適配分を再計算する。これによりコーナリング進入時の安定性、立ち上がりでの強烈なトラクション、さらには意図的なオーバーステアまで自在に演出できる。
さらにセンターデフにはプリロード機構を備え、常に部分ロック状態を維持。スロットルオフ時でも前後輪が結合されることでターンイン性能を高め、内部アンダーステアを抑制する。前後トルク配分は70:30から15:85まで可変し、状況に応じて最適化される。
ツインバルブダンパーと高剛性ボディ
シャシー面でも刷新が図られた。前後ともに5リンクサスペンションを採用し、RS専用チューニングを実施。とくに新開発のツインバルブダンパーは伸び側と縮み側を独立制御でき、快適性とスポーツ性能を両立する。ピッチングやロールを大幅に抑えながら、路面変化への応答も迅速だ。
ボディは標準Audi A5比で約10%剛性を高め、前後フェンダーはそれぞれ片側4cmワイド化。20インチまたは21インチホイール、最大440mm径のカーボンセラミックブレーキを組み合わせる。100km/hからの制動距離は30.6mと公表されている。
多彩なドライブモードとブースト機能
Audi drive selectにより、comfort、balanced、dynamicに加え、RS sport、RS torque rear、RS individualを選択可能。特にRS torque rearは最大限のリヤ寄りのトルク配分を行い、クローズドコースでのドリフト走行を想定した設定となる。
さらに10秒間フル加速を可能にする「ブースト機能」も搭載。ボタン操作で最適ギヤを選択し、瞬時に最大パフォーマンスを解放する。
RSらしさを深化させたデザイン
エクステリアはハニカムグリル付きシングルフレーム、チェック柄シグネチャーを備えるマトリクスLED、立体的ディフューザー、マットオーバルテールパイプなど、明確なRSデザインを採用。リヤのデジタルOLEDライトも専用演出を備える。
インテリアには11.9インチのAudi virtual cockpitと14.5インチMMIディスプレイを備え、走行データ解析機能「Audi driving experience」を標準装備。ラップタイムやドリフト角の記録も可能で、電動化時代のRS像を象徴する装備といえる。
電動化時代のRS像
Audi RS 5は、単なるハイブリッド化ではなく、電動化をパフォーマンス向上の手段として積極的に活用したモデルである。電気機械式トルクベクタリングと高出力PHEVシステムの融合により、日常の快適性からサーキット走行までを一台でカバーする幅広い能力を獲得した。
RSモデルの新たな時代を告げる存在として、その技術的完成度と走行体験は大きな注目を集めることになりそうである。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by AUDI AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。