2026年1月27日、Audi AGは、ドイツ・インゴルシュタット/ネッカーズルムにおいて、生産および物流分野で人工知能(AI)の導入を大規模に拡大すると発表した。自社開発のクラウド基盤を活用し、量産工程におけるAIユースケースを拡充することで、工場のスマートファクトリー化を加速させるのが狙いである。

生産・物流担当取締役のゲルト・ウォーカー氏は、「AIは生産効率における量子的飛躍である。AIとデジタル化のロードマップにより、AIが従業員を支援するパートナーとして機能するスマートファクトリーへと変革を進めている」と述べている。

クラウド化で工場制御を刷新

その中核となるのが「Edge Cloud 4 Production(EC4P)」である。従来は工場内の個別コンピューターで制御していた生産システムを、大規模クラウド上で統合管理する仕組みで、柔軟性と演算能力を両立させる。これにより、現場のハードウェア削減や保守コストの低減、ITセキュリティの強化を実現するという。

ドイツ国内の車両組立工場では、作業者への指示情報をクラウドからリアルタイム配信する仕組みへ移行。車両仕様や仕向地別バージョンなどの情報を中央管理することで、すでに1000台以上の産業用PCを削減した。

ネッカーズルム工場のA5およびA6シリーズのボディショップでは、EC4Pを用いた高度自動化ラインを初導入。約100台のロボットを含む装置群がミリ秒単位で同期し、3交代制で1日数百台のボディを生産しているという。この規模でのクラウド制御は業界でも先進的な取り組みと位置付けられる。

AIによる品質管理と作業支援

AI活用は品質管理にも及ぶ。溶接工程では「Weld Splatter Detection(WSD)」システムを導入し、ボディ下部の溶接スパッタを検出。検出箇所を可視化し、ロボットアームが研磨を行うことで、従来は作業者にとって負担の大きかった工程を自動化する。今後はインゴルシュタットの6工場で量産導入が予定されている。

さらに、自社開発のAIソリューション「ProcessGuardAIn」も展開する。これは機械やセンサーのデータをリアルタイムで分析し、異常を早期検知する仕組みである。ネッカーズルム工場の塗装工程では、前処理の薬剤投入量最適化や電着塗装工程での異常検知に活用中で、2026年第2四半期の量産導入を予定している。

将来的には予知保全や品質保証の中核ツールとして全工場への展開を視野に入れる。

ワイヤーハーネス自動化への挑戦

インゴルシュタット本社では、10社と連携する「Next2OEM」プロジェクトを進行中だ。ワイヤーハーネスの生産から車両への組み付けまでを完全デジタル化・自動化する構想で、業界全体で自動化率が1割未満とされる分野に挑む。変更リードタイムを従来の数週間から数分へ短縮できる可能性があるという。

Audiは2023年からハイルブロンのIPAI(Innovation Park Artificial Intelligence)と連携し、塗装工程の乾燥炉制御にAIを適用。ライン速度の微細な変化に即応し、エネルギー消費削減を図る取り組みを進めている。

一方で、AI活用にあたっては「尊重」「安全」「透明性」を原則とする行動規範を策定し、データ共有規範も整備。技術革新と責任ある運用を両立させる姿勢を示す。

今回の発表は、単なる個別技術の導入ではなく、生産全体をクラウドとAIで再設計する戦略的転換である。EV化と並行して進むデジタル化の波の中で、Audiは量産工場を「データ駆動型」へと進化させようとしている。今後は各拠点での横展開と効果検証が焦点となる。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by AUDI AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。