2025年11月26日、AUDI AGは、新モデルイヤーに向けて「Audi A5」、「Audi Q5」、「Audi A6」、「Audi A6 e-tron」、「Audi Q6 e-tron」の5モデルを対象に、ハードウェアおよびソフトウェアの大幅な改良を実施したと発表した。今回のアップデートは、電動専用のPPEと内燃系のPPCという二つのプラットフォームを横断して行われており、商品力維持と競争力強化を意図したものとなる。

AudiのGeoffrey Bouquot CTOは、「今回の包括的な改良は、PPEおよびPPCの両プラットフォームが将来の市場変化に適応し続けることを示すものだ」と述べ、電動化が進む時代においても内燃モデルを含むAudiラインアップ全体の価値向上を継続する姿勢を示した。

今回の発表は、急速に進展する電動化やデジタル化の流れに合わせて、ユーザー体験を車両の複数領域で底上げするもので、対象モデルはセダン、SUV、最新EVなど多岐にわたる。走行性能、運転支援、インフォテインメント、室内操作性、ライト技術、エンターテインメントまで、複数分野にまたがって刷新されている点に特徴がある。

Audi S5とAudi S6 e-tronに「dynamic plus」を追加しハンドリング性能をさらに向上

走行性能の分野では、Audi drive selectに新モード「dynamic plus」が追加された。これはスポーツモデルである「Audi S5」と「Audi S6 e-tron」に設定され、従来以上に刺激的でダイレクトなドライビングフィールを提供する。

Audi S5では、リヤスポーツディファレンシャルとブレーキトルクベクタリングの制御を変更し、アクセル操作に対して車両がより鋭く反応するようになった。「Audi S6 e-tron」では、前後モーターによる電動quattroとトルクベクタリングの協調制御によって、EVならではの瞬時のトルク配分を活かし、スポーツ走行に適した積極的な姿勢変化が実現される。

両モデルではESCが自動的にスポーツモードへ移行し、ドライバーがコントロール可能なオーバーステアを楽しめる設定が与えられている。また、専用のDynamic Plusディスプレイが追加され、タコメーターやシフトライト、車両姿勢やトルク配分の情報を視覚的かつ直感的に把握できるようになり、走行中の没入感を高めている。

Audi A6 e-tronとAudi Q6 e-tronは回生ブレーキを改良

PPEプラットフォームを採用する「Audi A6 e-tron」と「Audi Q6 e-tron」では、回生ブレーキ機能が大きく進化した。新制御によって、停止直前まで摩擦ブレーキに頼ることなく電気的な回生のみで減速できるようになり、ワンペダル走行がより滑らかな制御となった。この改良は減速時の快適性を向上させるだけでなく、得られる回生量の増加による航続距離拡大にも貢献するとしている。

Audi A6、Audi A5、Audi Q5などでADASを強化

運転支援(ADAS)の領域では、アダプティブクルーズアシストが進化し、高速道路でのアシスト車線変更が導入された。これはドライバーがウインカーを操作すると、車両が周囲車両や車線状況を監視しながら、車線変更に必要なステアリング操作をアシストするというものだ。ドライバー主体の操作を維持しつつ、運転負荷を減らし安全性を高めることを狙った機能となる。

また、交通標識認識は速度制限、一時停止、凹凸路面、優先道路や優先権に関する情報などの認識精度を向上させたうえで、車両の速度制御と連動させることで、その状況に応じて適切な速度へ自動調整できるようになった。

駐車支援機能では、最後の50mを車両が自動でトレースするリバースアシストのほか、狭いスペースでの接触を防ぐマヌーバアシスト、最大200m・5件までの駐車動作を記録できるトレーニング駐車、そしてスマートフォンを用いて車外からガレージ駐車を行える機能も追加されている。これらの機能はAudi A5、Audi Q5、Audi A6、Audi A6 e-tron、Audi Q6 e-tronのすべてで利用可能となり、駐車時などのドライバーの軽減する。

Audi A6にデジタルマトリクスLEDを採用し、視認性と演出性が向上

ハードウェア面でも大きな刷新が行われ、Audi A6にはデジタルマトリクスLEDヘッドライトが新たに設定された。マイクロLED技術を用いたこのライトは、路面へのレーンガイド表示や氷結注意シンボルの投影など、視認性を高めるための高度な光制御を実現する。歩行者に向けて注意を促すマーキングライトも備えており、安全機能としての価値が大きく高まった。

加えて、乗降時には3種類のダイナミックなアニメーションが投影されるなど、夜間の演出性や存在感を高める工夫も取り入れられている。デイタイムランニングライトも刷新され、48セグメントのLEDによって8種類のライトシグネチャーを表現できるようになった。リヤ側ではデジタルOLEDリアライト2.0が採用され、198セグメントを用いて多彩な演出パターンを実現する。

Audi A5、Audi Q5、Audi A6などに新UIを展開

インテリアでは、まずステアリングホイールが物理ボタンを備えた新デザインに変更され、従来のタッチ式よりも直感的で確実な操作感が得られるようになった。Audiバーチャルコックピットは、クラシックメーター表示、ナビゲーション表示、アシスト表示という3種類のレイアウトから選択でき、走行シーンやドライバーの好みを反映しやすくなった。

UIも新世代のデザインに統一され、アイコンが簡略化され、画面遷移も直感的に行えるようになった。また、スマートフォンとの連携が深く統合され、ナビゲーション、メディア、通話といった主要アプリをMMIだけでなく、AudiバーチャルコックピットやMMI助手席ディスプレイにも表示できるようになり、操作体系の一体感が向上している。

Audi A6(PPCモデル)には、新形状のコンフォートシートが導入され、長距離移動での快適性とサポート性の向上も図られた。

Audi assistantがさらに進化し、ChatGPT統合で自然な会話操作が可能に

Audi assistantは学習型AIとしてさらに進化し、ChatGPTの統合によって曖昧な表現でも目的地を検索できるようになった。たとえば「ライン川が見えるイタリアン」や「駐車場が広く家族向けのカフェ」といった自然な表現に対しても、適切な候補を提示できる。

また、ドライバーアシスト機能の操作や車高リフトアップなど、音声で操作できる範囲が広がったほか、カレンダーの確認やメールの読み上げ・作成といった“車内オフィス化”を促進する機能も充実した。学習機能により、よく使う操作をルーティン化し、高速道路でのACC自動起動や、段差通過時の自動リフトアップなど、ユーザーの行動に合わせて車両が最適な動作を行う。

ルームミラー一体型4Kドライブレコーダーを設定

新イヤーモデルでは、ルームミラー基部に組み込まれた4Kドライブレコーダーがオプション設定された。HDR対応センサーにより昼夜を問わず鮮明な映像を記録できるほか、事故発生時には前後30秒の映像を自動保存する。データは車内のSDカードにのみ保存され、外部へ送信されることはないため、プライバシー面での安心感も高い。

映像はMMIディスプレイ上で大きく表示でき、操作はアプリ感覚で直感的に扱える仕様となっている。

車内体験を広げる新機能:エクスペリエンスワールドとインカーゲームの拡張

車内体験の向上を目的とした機能では、照明、音響、空調、マッサージを統合制御する「エクスペリエンスワールド」が導入された。この機能にはActivating、Relaxing、Harmonizingの3種類のシナリオが用意され、いずれも走行中の車両の動きに合わせて室内環境を段階的に変化させる。EVモデルであるAudi A6 e-tronとAudi Q6 e-tronではPower Napモードも利用でき、充電中の休憩をより快適にする。

また、Bluetoothコントローラーを接続することで「Asphalt Legends」などのゲームをMMIでプレイできるようになり、助手席ディスプレイではプライバシーモードを使用することで、ドライバーからは見えない状態で映像を楽しめる。長距離移動や充電待ちの時間を充実させるための機能として、インカーエンターテインメントの幅が大きく広がった。

ヨーロッパではPPCモデルが2025年の48週目から、PPEモデルが49週目から市場導入される予定で、市場により仕様や導入時期が異なる可能性がある。Audiは今回の大規模アップデートによって、既存オーナーに対しても新車ユーザーに対しても最新の体験価値を提供し続ける方針を示している。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by AUDI AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。