「Audi Q3」の第3世代が発表された。ステアリングホイール後部のギアセレクターをAudiとして初採用するなど、見どころ満載である。

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

Audiのベストセラー

200万台を超える販売台数はまさに驚異的な数字である。2011年からAudi Q3は、広々とした室内空間、高品質な素材、豊富なエンジンラインナップで顧客を魅了し続けてきた。

9月に発売される3代目モデルでも、その基本コンセプトは変わらない。しかし、いくつかの新機能が驚きをもたらす。

われわれのお気に入り

  • 豊富なエンジンラインナップ
  • 高品質な素材の選択
  • 最先端の技術

不満な点

  • トランク容量の縮小
  • 価格が3,300ユーロ(約56万円)値上げ

価格:大幅な値上がり

新型Audi Q3の150PSベースモデルは44,600ユーロ(約758万円)から注文可能で、前モデルより3,300ユーロ(約56万円)の値上げとなった。Audiは、この値上げの理由として標準装備のグレードアップなどを挙げている。新型Audi Q3 e-hybridは49,300ユーロ(約838万円)からとなる。

デザイン:デジタルマトリクスLEDヘッドライトが新登場

新しいAudi Q3は、一見するとわずかに小型化されたAudi Q5を彷彿とさせる。力強いフロント、幅広で黒く塗装されたラジエターグリル、高いショルダーラインなどが特徴だ。しかし、よく見ると二分割されたヘッドライトが目を惹く。デイタイムランニングライトは上部に、メインヘッドライトは一段下に配置される。AudiはAudi Q3としてははじめて、マイクロLED技術とプロジェクションライトを組み合わせたデジタルマトリクスLEDヘッドライトを採用した(オプション装備)。

Audi Q3のヘッドライトはAudi Q5とは異なり2分割式。オプションでデジタルマトリックスLEDライトを選択可能。

リヤライトも二分割式で、3つの装備グレードのうち最上位グレードには4種類のライトシグネチャーを備えたデジタルOLEDリヤライトが採用される。さらに、連続したライトバンドと照明付きフォーリングスが全体を補完する。Audiの照明技術のこだわりは健在である。

全長はわずかに拡大

先代モデルと比べて新型Audi Q3は4cm伸び、全長4.53mとなった。この延長はフロント部分のみに限定され、SUVの見た目がより伸びやかになっている。新色「セージグリーン」のスタジオ車両には20インチホイールが装着され、バランスが取れている。標準装備の17インチホイールはやや物足りなく見えるかもしれない。

パワートレイン:ディーゼル、ガソリン、プラグインハイブリッドをラインナップ

9月の発売時には、Audi Q3は4種類のエンジンとSトロニック デュアルクラッチトランスミッションの組み合わせで提供される。マニュアルトランスミッションは設定されない。エントリーモデルは150PSの1.5Lガソリンエンジンと前輪駆動の組み合わせ。ガソリンエンジン搭載車の最上位モデルは265PSの2.0L 4気筒エンジンと4WDとなる。唯一のディーゼルエンジンも150PSで、前輪駆動のみだ。

「e-hybrid」と名付けられたプラグインハイブリッドはシステム出力272PSを実現。19.7kWhのバッテリーは最大120kmの純電動走行距離を実現し、最大50kWの急速充電に対応する。さらに、204PSのTFSIエンジンとquattroを搭載したモデルも今年中に発売予定で、エンジンラインナップは幅広いニーズに対応する。

装備:ギアセレクターはステアリングホイール後方に移動

インテリアはAudi Q5の軽やかな雰囲気を取り入れている。パノラマディスプレイは11.9インチのバーチャルコックピットと12.8インチのMMIタッチで構成され、Android Automotive OSを採用。高い反応速度と直感的な操作性を備える。音声アシスタントはAIにより継続的に学習する。「トレーニング済み駐車」機能では、SUVが駐車操作を記憶し、自動的に再現可能だ。

パノラマディスプレイは11.9インチのバーチャルコックピットと12.8インチのMMIタッチスクリーンで構成。

新しいAudi Q3では、ギアセレクターがセンターコンソールから上下フラットなステアリングホイールの後ろに移動した。最初は違和感があるが、すぐに直感的に操作できる。一方、ターンシグナルは従来の左側ステアリングコラムレバーが廃止され、ギアセレクター側の操作ユニットに統合された。ワイパーも同ユニットの回転ダイヤルで操作する。どちらも操作性は良好だが、慣れが必要かもしれない。コックピットの素材選択と仕上げは高い完成度を誇る。

前モデルよりもトランク容量が縮小

後部座席は広く、15cm前後のスライドが可能で、足元スペースや収納容量を調整できる。ラゲッジスペースは通常時488L、後席スライドで575L、後席を倒すと1,386Lとなる。先代モデル(530〜1,525L)に比べると縮小している。牽引荷重は2,100kgで変更はない。

新オプションとしてアダプティブダンパー付きサスペンションを追加。2バルブダンパー制御により快適性とスポーツ性の幅を拡大する。

結論

スペース、仕上げ、エンジンラインナップはいずれも高水準であり、Audi Q3は現在、上級クラスでしか見られない装備も標準化している。第3世代も高い評価を得ることは間違いないだろう。

(Text by Jan Götze / Photos by AUDI AG)