Audiは過去、「Audi A6 Avant」の後継モデルについて一部混乱を引き起こした。当初は「Audi A7」として生産される予定だったが、インゴルシュタット本社は最終的に元の名称「Audi A6」を維持することを決定した。

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

当然ながら、Audiが今回発表したセダンにも同じことが適用される。高級セダンは国内市場ではステーションワゴンほど需要が高くないものの、セダンも引き続き販売される。

そして、セダンとアバントがデザイン面でほとんど違いがないことは、誰にとっても驚くべきことではないだろう。深いフロント部分、広いラジエーターグリル、新しいLEDヘッドライト、そしてエアカーテンは、両モデルで共通している。

A6(C5)からのデザイン要素

サイドラインとリヤ部分には違いがある。例えば、Dピラーへのウィンドーラインがよりフラットに設計されている。これは空気抵抗にも影響を与え、セダンはCd値0.23で、ステーションワゴン(Cd値: 0.25)よりもやや優れた空力性能を実現している。

リヤライトは矢形デザインを採用し、ブレーキライトは下方向に伸びて視覚的な幅広さを強調している。セダン特有の段付きリヤは丸みを帯びたデザインで、1997年から2005年まで製造されたC5型AudiA6を彷彿とさせる。

直接の先代モデルに比べて外寸が60mm長くなったにもかかわらず、新型Audi A6はトランク容量がやや減少しており、492Lで、荷室容量は38L少なくなっている。マイルドハイブリッドを注文した場合、バッテリーが荷室床下に搭載されているため、荷室容量はさらに452Lにまで減少する。

荷室だけでなく、フラットなルーフラインにより、とくに190cmを超える乗員には、頭上空間がやや狭くなっている。ただし、190cm未満の乗員は、膨らんだルーフの凹部により、まだ快適に過ごせる。その他の乗員は、1列目に座る方が快適で、そこが新型Audi A6のハイライトとなっている。

新型Audi A6は先代モデルより安価になる

ここでも新しいMMIインフォテインメントシステムが採用されており、オプションのパッセンジャーディスプレイも搭載されている。後者は、運転中はドライバーから見えなくなっている。さらに、素材の品質は全体的に高く、仕上げも非常に良好だ。シートの快適性も申し分ないが、ベース価格が55,500ユーロ(約915万円)を超えることを考えれば、当然の品質といえるだろう。

6気筒モデルは、なんと70,000ユーロ(約1,155万円)だ。これは非常に高額だが、先代と比較すると新型は安価になった。「C8」の最終価格は57,400ユーロ(約947万円)で、同等のエンジン搭載モデルは59,700ユーロ(約985万円)からで、4,200ユーロ(約69万円)も高かったからだ。

エンジンについて

駆動系では、価格に応じて204PSの2L4気筒エンジンと前輪駆動の組み合わせ。暫定的な最上位モデルには367PSのV6エンジンと4WDのquattroが組み合わせとなる。セダンタイプのAudi A6は、今すぐ注文可能で最初の納車は夏から開始される。来年にはさらに新しいエンジンが追加される予定だ。

結論

Audi A6の名称を変更しないという決定は、Audiにとって正しい方向への一歩だ。ステーションワゴンとセダンのどちらを選ぶかは、好みの問題だ。しかし、ドイツでは、伝統的にステーションワゴンの方が、人気が高い。セダンは概ね社用車だ。

(Text by Sebastian Friemel / Photos by Audi AG)