アウディは2024年6月3日、取締役会においてイノベーションおよびSDV(ソフトウェア デファインド ビークル)を担当する専任の役職にジェフリー・ブーコ(Geoffrey Bouquo)氏が就任したことを発表した。

AUDI AG監査役会会長であるマンフレート・デス氏(Manfred Döss)は「取締役に新しい役職を設ける決定により、アウディは長期的なテクノロジーおよびイノベーション戦略を強化し、SDVの開発に注力していきます。私たちは、ブーコが取締役会のメンバー全員とともに、Audi Agendaを成功に導くために、大きな推進力となってくれると確信しています」と述べている。

また、AUDI AG監査役会副会長 兼 労使協議会議長ヨルク・シュラグバウアー氏(Jörg Schlagbauer)は「SDVおよび革新技術の開発を重視するブーコがアウディ取締役に任命されたことは、Vorsprung durch Technik(技術による先進)に対する従業員の真摯な取り組みを強調するものでもあります。私たちは、組織に新しい風を吹き込み、アウディの明るい未来を構築するために、共に協力して取り組んでいくことを、楽しみにしています」と述べた。

Audi Agendaの中核となる要素は、新しいものを生み出すための土台となる組織を構築して、開発作業のスピードを加速させることにある。より企業家精神に基づいた責任を通じて、モデルシリーズの管理が強化され、技術開発部門における組織の役割とその能力が明確に構造化される。

これにより、技術部門が持っている開発に関する専門知識やノウハウが、明確に定義されたシステム理論に統合されることになる。この作業は、ソフトウェア主導のインテグレーテッド ビークルを開発するという、パラダイムシフトの実現に密接に関連している。イノベーションおよびSDV担当取締役として、ジェフリー・ブーコ氏はソフトウェア中心の組織への変革を推進することになる。

デルナーは「Vorsprung durch Technikはアウディのスローガンである一方で、イノベーションはアウディが未来に適合するためのキーワードと言えるでしょう。開発のペースを速め、ソフトウェアに明確に焦点を当てるためには、徹底した構造改革が必要です。ブーコを任命することで、私たちはこの目標に向かって前進することができます。ブーコは、大規模な開発およびソフトウェアチームを率いて企業を変革することに関して、豊富な経験を持っています。彼は、テクノロジーおよびイノベーションに関する深い専門知識と力強いリーダーシップにより、アウディの発展に大きく貢献してくれると確信しています」と述べる。

ブーコ氏は「私にとってアウディは、精密さと未来、つまりエンジニアリングとデジタル化を象徴しています。新たな役職で働くことを楽しみにしています。私は、アウディのチームおよびそのビジネスエコシステムとともに、現在の前向きな傾向をさらに高めるため、自らの役割を果たしていきたいと考えています。さらなる効率化とデジタル化の推進こそが、この目標へとつながる道なのです」と述べている。

ジェフリー・ブーコ氏は変革の時代における卓越したリーダー

イノベーションおよびSDV(ソフトウェア デファインド ビークル)を担当するジェフリー・ブーコ(Geoffrey Bouquo)氏

ジェフリー・ブーコ氏は、さまざまな技術開発分野の国際チームを率いてきた経験を豊富に持っている。大規模なソフトウェアエンジニアリング部門を率い、人工知能や自動運転の分野などにおける、長期的なイノベーションの戦略的マネージメントを担当してきた。

ブーコ氏の直近の役職は、ヴァレオ(Valeo)のグループ最高技術責任者(CTO)兼 戦略担当シニアバイスプレジデントだった。ヴァレオに勤務する以前は、フランス政府で国防大臣の産業問題担当技術顧問を務めた。

またブーコ氏はこの役職で、企業戦略、研究開発、広報、持続可能性、マーケティング、イノベーションを担当。ブーコ氏は、2万人のエンジニアと20の研究センター、40の開発センターから構成される研究開発ネットワークを率いてきた。

ブーコ氏の役割には、研究開発部門の変革、デジタル化の促進、選択されたプラットフォームに集中することによる効率性の向上などが含まれる。また、フランスで初となる自動運転車用AIの専門研究所も設立した。

(Text Toru Matsumura)