アウディ グループは2024年3月19日、2023年度の売上高は前年比13.1%増の699億ユーロ、営業利益は63億ユーロ、営業利益率は9.0%と発表した。また、数多くのニューモデルを導入することにより、今後数年間で、製品ポートフォリオを大幅に強化および拡大する予定だ。
新しいプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)を採用した、初めての電気自動車Audi Q6 e-tronのワールドプレミアをはじめ、2024年から2025年にかけて、20以上のニューモデルの導入が計画されている。
AUDI AG取締役会会長 ゲルノート デルナー氏は「私たちは経済的、技術的、戦略的に将来に向けた立ち位置を整え、ニューモデルを次々と市場に投入していきます。財務実績、優れた製品、柔軟で素早い決断力を備えた企業構造など、主要な活動分野に焦点を当てた確固たる戦略に基づいています。このようにして、私たちは厳しい経済環境の中で、変革を加速させています」と述べている。
すべての主要な地域で販売台数が増加
アウディ グループを構成する、アウディ、ベントレー、ランボルギーニ、ドゥカティの各ブランドは、2023年度に191万8,912台(2022年:163万8,638台)の車両と5万8,224台(2022年:6万1,562台)のモーターサイクルを販売した。アウディは前年比17.4%の増加となる189万5,240台の車両を販売した。
なお、2024年末から、アウディと第一汽車(FAW)の合弁会社であるAudi FAW NEV Company Ltd.は、中国市場向けに専用設計された電気自動車を、長春で生産する予定だ。
電気自動車の販売がさらに増加
2023年、アウディ グループは再び電気自動車の販売台数を大幅に伸ばし、前年比51%の大幅増となる、17万8,429台を販売した。Audi Q6 e-tronはアウディとポルシェが共同開発したPPEをアウディで初めて採用した。このモデルの操作コンセプトを一新したE3 1.2電子アーキテクチャーは、アップデートおよびアップグレードが可能だ。
またアウディは、フォルクスワーゲン グループのソフトウェア部門であるCARIADおよびフォルクスワーゲン ブランドと協力して、この移行を推進するSDV Hubの運用を開始する。
アウディ グループの売上高がさらに増加
2023年、アウディ グループの売上高は、698億6,500万ユーロ(2022年:617億5,300万ユーロ)に達し、売上高は前年より13.1%増加した。この成長には、電気自動車のAudi Q4 e-tronに加え、Audi Q3、Audi Q5、Audi Q7シリーズが特に大きく貢献している。EUタクソノミーに準拠した売上高の割合は、16.3%(2022年:13.5%)に上昇し。
堅調な営業利益、営業利益率は予想の範囲内
アウディ グループの営業利益は、62億8,000万ユーロ(2022年:75億5,000万ユーロ)に達した。2023年の営業利益は、9億ユーロ減少したものの、営業利益率は、目標範囲内の9.0%であった。
アウディは、2023年における従業員の努力に報いるため、従業員に利益の一部を分配する。ドイツ工場の熟練労働者の場合、2023年のアウディの利益分配額は8,840ユーロとなる(2022年:8,510ユーロ)。
ベントレー、ランボルギーニ、ドゥカティの好調な業績を記録
ランボルギーニは2023年、前年比9.5%の1万112台(2022年:9,233台)の車両を販売。前年をさらに12.1%上回り、26億6,300万ユーロ(2022年:23億7,500万ユーロ)に増加した。営業利益率は27.2%、営業利益は7億2,300万ユーロに達しました。
ベントレーは、1万3,560台(2022年:1万5,174台)の車両を販売しました。売上高は、29億3,800万ユーロ(2022年:33億8,400万ユーロ)。営業利益率は20.1%に達し、営業利益は5億8,900万ユーロでした。
ドゥカティは、5万8,224台のモーターサイクルを販売。この数値は、2022年の6万1,562台と比較するとわずかに減少。売上高も10億6,500万ユーロで、前年(10億8,900万ユーロ)をわずかに下回った。営業利益率は10.5%、営業利益は1億1,200万ユーロであった。
堅調な営業外収益、ネットキャッシュフローは高水準を維持
アウディ グループの2023年の営業外収益は、14億2,300万ユーロ(2022年:15億2,200万ユーロ)であった。中国の事業からの営業外収益は、9億1,500万ユーロ(2022年:11億5,300万ユーロ)、税引後利益は62億6,000万ユーロ(2022年:71億1,600万ユーロ)となった。
アウディ グループのネットキャッシュフローは、好調だった前年と同水準の47億4,000万ユーロ(2022年:48億800万ユーロ)だった。
2024年度の展望
AUDI AG最高財務責任者(CFO) ユルゲン リッテルスベルガー氏は「堅実な財務結果により、私たちが今後も数年間にわたって変革を推進し続けていく体制が整いました。そのため、私たちはPerformance Program 14を立ち上げました。これは、私たちの収益性を確保するための効果的なプログラムです。長期的には、ブランド グループ プログレッシブの営業利益率の目標である14%を達成したいと考えています」と述べる。
若干の経済成長と部品の安定した供給を前提として、アウディ グループは2024会計年度に630億ユーロから680億ユーロの売上高を予想する。また、営業利益率は、8〜10%の範囲、ネットキャッシュフローは、25億ユーロから35億ユーロの範囲になると予想されている。
(Text Toru Matsumura)