アウディは、6月15日、オーストリアでは初となるAudi charging hub(アウディ チャージング ハブ)をオープン。ニュルンベルク、ベルリン、チューリッヒに続き、世界で4番目となる急速充電ステーションをザルツブルクに開設と発表した。また、アウディの電気自動車e-tronやニューモデルを見たり、体験したりすることができるMOONCITYを併設しているという。

AUDI AG最高経営責任者(CEO)マルクス ドゥスマン氏は「ヨーロッパおよび世界中で充電インフラを迅速に拡大することは、eモビリティの成功にとって極めて重要です。私たちは、政治と産業界が共同でこの課題に対処すべきであると考えています。Audi charging hubは、公共充電ステーションを補完するものです」と述べている。

Vorsprung durch Technik(技術による先進)、パフォーマンスを低下させずに高い充電出力を実現
Audi charging hubは追加のインフラ整備を必要としないだけでなく、アウディのe-tron開発車両から取り外した、使用済み再生リチウムイオンバッテリー(セカンドライフ バッテリー)を収めたモジュール式コンテナ「チャージングキューブ」をベースに構築している。

この設計により、地域の送電網に対する負荷が軽減され、複雑で高価なインフラ整備が必要なくなる利点がある。ザルツブルクのAudi charging hubには、蓄電装置を備えた4つの充電ポイントがあり、最大出力320kWで車両を充電することが可能だ。充電ステーションがフル稼働し、4つの充電ポイントすべてを同時に使用した場合でも、各充電ポイントは常に320kWの出力を供給可能だという。

Audi charging hubではバリアフリー化を最重視

Audi charging hubは、バリアフリーの実現を最重視している。車椅子ユーザーが車両のドアを開けて敷地内を移動する場合でも、十分なスペースが確保している。決済用端末は、ボタンを押すだけで車椅子に適した高さに移動させること可能だ。

また、車両がプラグ&チャージ機能に対応している場合、充電はさらに簡単になり、車両および充電ポイントの間で支払い情報が直接通信されるため、現金による支払いや確認作業が不要になるという。さらに、充電プラグを車両の任意の位置に簡単に移動できる設計となっており、モデルを問わずユーザーは充電ポートに簡単にアクセスが可能だ。

実証実験ではリピート率70%というデータも

なお、アウディのドライバーでなくても、メーカーを問わずCCS(コンバインド充電システム)充電ポートを備えた電気自動車であれば充電可能だ(アウディのユーザーは、事前にスロットを予約することができ、myAudiアプリを使用してスロットを予約することにより、待ち時間なしに充電可能)。

ニュルンベルクで行われた実証実験の結果によると、2021年12月以降、ユーザーのリピート率は70%に達しているという。

Audi charging hubプロジェクト マネージャー ラルフ ホルミグ氏は「お客様は、Audi charging hubでの充電を日常生活に組み込んでいます。初めてAudi charging hubが設置されたニュルンベルクでは、1日あたり最大62回、1日平均36回の充電が行われており、利用者の約半数は、アウディの電動モデルでこの場所を訪れています。しかし、2021年12月に初めてAudi charging hubを設置したとき、これほどの成功を収めると予測した人はほとんどいませんでした。2023年初頭までに、すでに1万人がAudi charging hubを訪れました。チューリッヒでも、同様に高い需要が見られます。これらの数字は、自宅での充電ではなく、都市部で充電するというアウディのコンセプトが正しいものであることを裏付けており、ここザルツブルクでも、成功を収めることができると確信しています」と述べている。

アウディ オーストリア ブランドディレクター トーマス ベラン氏も「世界で4番目の拠点として、ザルツブルクにAudi charging hubをオープンできたことを嬉しく思います。都市を走る電気自動車の数は増加しており、都市部における柔軟でプレミアムな急速充電インフラの整備は、ますます重要になっています。アウディの電気自動車e-tronは高い人気を博し、ザルツブルクのような都市でも充電ニーズが高まっており、従来の充電ステーションに加えて、プレミアムな充電ステーションの需要が生まれています」と述べている。

(Text Toru Matsumura)