2022年1月1日から14日にサウジアラビアで行われたダカールラリー2022に、Audiが電動パワートレインを搭載した3台の「Audi RS Q e-tron」で参戦。全車が完走するとともに、最上位のマティアス・エクストローム/エミール・ベリークヴィスト組が総合9位となった。

AudiはAudi RS Q e-tronで低排出ガス車両を対象として新設されたT1アルティメットクラスに参戦。イベント期間中、4度のステージ総合優勝を獲得し、その速さを見せつけることになった。

Audi勢の最上位はマティアス・エクストロームとエミール・ベリークヴィストのペアで、自動車カテゴリーでは初参加となる今回は、競技2日目に道に迷い1時間45分を失ったものの、その後は安全を優先した走りで着実に順位を上げ、第8ステージではステージ優勝を遂げた。最終的にはクラストップ、総合9位でゴールを果たしている。

過去WRCで2回、ダカールラリーで3回の優勝経験があるカルロス・サインツは、ルーカス・クルスとともに参戦。エクストローム組同様、競技2日目に道に迷い、また、第4ステージから第6ステージでは何度もショックアブソーバーの交換を強いられたものの、2度のステージ優勝を果たすなど健闘し、最終的には総合14位でフィニッシュした。

ダカールラリーで14回の最多優勝記録を持つステファン・ペテランセルはエドゥアール・ブーランジェをコドライバーに迎えて参戦。経験豊富なペテランセルだったが、2日目にマシンを岩にヒットさせてサスペンションを大きく損傷。これが元で順位を落としてしまう。その後は他の2台のサポートを優先しながら、第10ステージでは優勝するなど健闘。最終的には総合154位で競技を終えることになった。

AUDI AG 技術開発担当取締役のオリバー・ホフマン氏は、「Audiは、今回のダカールラリーで、スタート時点からパイオニアとしての役割にふさわしい走りを見せました。電動ドライブトレイン、高電圧バッテリー、そしてきわめて効率的なエネルギーコンバーターを組み合わせたAudi RS Q e-tronに採用された代替駆動コンセプトは、私たちのあらゆる期待に応えてくれました。アウディは、この世界でもっとも過酷なラリーを含め、40年以上の長きにわたり、革新的なテクノロジーでモータースポーツの世界に繰り返し感動を与えてきました」と述べた。

また、Audi Sport GmbHマネージングディレクター兼アウディ モータースポーツ部門統括責任者のユリウス・シーバッハ氏は、「私たちのドライバーチームは4つのステージ優勝を獲得し、毎日の表彰台には合計14回も上ることができました。この結果は、ダカール初参戦の私たちの期待を上回る結果です。現地のチームだけでなく、ドイツ国内の関係者も含めて、感謝したいと思います。またスヴェン・クヴァントと彼のチームのサポートに感謝します。3日目という早い段階で、カルロス・サインツのAudi RS Q e-tronが歴史的な優勝を収めたことは、情熱的な努力の賜物であり、このコンセプトがダカールラリーで総合優勝できる能力を備えていることを証明するものです。Audiは、電動駆動コンセプトでステージ優勝を収めた初めてのチームとなりました。これは、素晴らしいチームパフォーマンスの結果です。次のダカールでの目標は、総合優勝です。ドイツに戻ったら問題点を洗い出し、Audi RS Q e-tronをさらに改善して、さらにいくつかのレースに投入する予定です」と語っている。

(Text by Satoshi Ubukata)