フルモデルチェンジした「Audi A3」シリーズのなかから、スポーツグレードの「Audi S3 Sedan」をワインディングロードでチェックした。

すでにニュースでもお伝えしたとおり、Audiの主力モデルであるAudi A3シリーズがフルモデルチェンジし、日本でもデリバリーがスタートした。標準モデルのAudi A3 Sedan/A3 Sportbackに加えて、スポーツグレードのAudi S3 Sedan/S3 Sportbackも同時に発売。この中から、Audi S3 Sedanを、短時間ではあるが報道試乗会で試すことができた。

新型Audi S3の概要は上記のニュースをご覧いただくとして、今回の試乗車は、ダンピングコントロールサスペンションをはじめ、パノラマサンルーフ、レッドのカラードブレーキキャリパー、マトリクスLEDヘッドライトといったオプションが装着されている。

また、シートはファイナッパレザーにグレードアップされ、上質さとスポーティさをさらに高めているのが印象的である。ちなみに、オプションの合計金額は76万円で、車両本体価格の661万円と合わせると737万円になる。

Audi A3シリーズには10.25インチのの「アウディバーチャルコックピット」がオプション設定されるのに対し、Audi S3では12.3インチの「バーチャルコックピットプラス」が標準で装着される。Sモデル専用のビューも用意され、ここでも特別な雰囲気を味わうことができる。

搭載される2.0 TFSIエンジンは、旧型から最高出力が20ps、最大トルクが20Nmアップして、228kW(310ps)と400Nm(40.8kgm)となった。これに7速Sトロニックと油圧多板クラッチを用いたquattroが組み合わされる。

さっそく走り出すと、これまでにも増して低回転でのトルクが充実し、アクセルペダルの操作に対するレスポンスも向上した印象。一般道を走る際に、少し加速しようという場面でドライバーの意図したとおりに反応してくれる。

一方、ここぞという場面でアクセルペダルを踏みつけてやれば、素早い加速を見せてくれる。どこから踏んでも期待に応えてくれるが、体感的には3000rpm手前あたりから力強さを増し、一気にレブリミットまで駆け上がる感じである。

そういった場合でも、4WDのquattroがエンジンの強大なトルクをしっかりと受け止めてくれるので、クルマの挙動は終始安定しており、安心してアクセルペダルを踏めるのがAudi S3の頼もしいところだ。

スポーツモデルだけに、乗り心地は少し硬めだが、ダンピングコントロールサスペンションが装着されるこのクルマは、ゴツゴツと不快なショックを伝えることはなく、十分な快適さを確保している。走行中の挙動も落ち着いており、個人的には標準モデルのAudi A3よりも良い印象を抱いた。

ワインディングロードではしなやかに動くサスペンションが路面をしっかりと捉え、ロールを抑えるセッティングが安定感を生み出している。軽快なハンドリングも相変わらずで、気持ちの良いドライブが楽しめた。スピードが上がる場面ではドライブセレクトをオートからダイナミックに変え、ボディの動きをさらに抑えることで、一段とキレのある走りを味わうことができた。

ということで、日常つかいからスポーティな走りまで、これ一台で完璧にこなすAudi S3 Sedan。プレミアムコンパクトスポーツの定番として、この新型も人気が高まりそうだ。

(Text & photos by Satoshi Ubukata)