アウディのブランドストア「Audi House of Progress Tokyo(アウディ・ハウス・オブ・プログレス・トウキョウ)」。

その1号店が世界に先駆けて2021年1月14日、東京・青山にオープンしました。

「Audi House of Progress Tokyo」の館内は1階がアウディの最新モデルの展示車スペース、2階がラウンジ、地下1階がアウディの世界観をデジタルコンテンツで体感できるスペースになっています。また、最新モデルの試乗や新車の発表会、期間限定イベントなどが行われています。

しかし残念ながらAudi House of Progress Tokyoは今月5月31日で閉館となり、現在は「アディダス」とアウディがコラボするサスティナブルなイベントが開催されています。

その前は、ファッション誌「VOGUE」とのサスティバルなコラボイベントが開催されていましたが、そのとき、会場へ行ったので、少しご紹介します。

そこはさすがは「VOGUE」。入り口を入ると、1階には「Audi RS e-tron GT」、そして地下へと続く階段にはレッドカーペットが敷かれ、その先にはカメラマンに囲まれている風のステージが!

ここで“なりきり動画”をつくるプログラムがあり、気分はスーパーモデルか、オスカー女優!? 私もせっかくなのでつくってもらいました。

Yumi @Audi House of Progress Tokyo

youtu.be

展示物の中にはアウトドアブランド「THE NORTH FACE」が、微生物による酵素プロセスで生まれたサスティナブル素材“構造たんぱく質”「プリュード・プロテイン」を使ったダウン「MOON PARKA(ムーン・パーカ)」もありました。情報としては知っていましたが、まさかここで実物を見ることができるとは……。

実は、展示車のアウディ「Audi RS e-tron GT」に使われている素材もサスティナブル。「レザーフリーパッケージ」では、レザーをいっさい使用せず、人工皮革とリサイクル素材から抽出したポリエステルなどをシートやセンターコンソールトリム、フロアマットに使用。ただ、残念ながら展示車はレザーフリーパッケージ仕様ではありませんでしたが……。先日、発表された「Audi Q4 e-tron」にも、シート地に1.5Lのペットボトル約26本分が使用された素材が使われるなど、新型車が出るたびにサスティナブルに関する情報が追加され、環境負荷の少ない素材が増えています。

期間中にはサスティナブルなトークショーが開催され、私もゲストスピーカーとして参加させていただきました。

主催したのは、アウディ ジャパンの正規ディーラーのひとつ「株式会社フォーリングス」と、100年先の東京を見据えて都心でも緑豊かな100平方メートルを超える物件を厳選して提供し、豊かな暮らしの価値を創出する株式会社リビタの「R100 TOKYO」。

トークショーではMCがフォーリングスの高久さん。スピーカーはアートディレクター/デザイナーの「MTDO」(エムテド)代表取締役の田子學さんと、「R100 TOKYO」事業部 兼レジデンシャル企画部の浦川貴司さん、そして私。そこに半導体加工メーカーの社長でありながら山梨のワイナリー「MGVs」(マグヴィス)に参入した松坂浩志さんがオンラインで参加です。

といっても、私以外の方々は以前もトークショーを行っているらしく、気心が知れているという感じ。私も頑張らねば!(笑)

まずは、浦川さん。リビタが“リノベーションで100年愛される住まい”をつくって販売する「R100 TOKYO」についての話。「R100. TOKYO」のコンセプトは「東京を豊かに暮らす」。日本人が考えるラグジュアリーとは何か、「豊かさの本質」について考える提案や「R100 TOKYO」の取り組みご紹介。建物や生活、住居からサスティブルを考える……。とても良い切り口だと思います。とはいえ「R100 TOKYO」が扱うのは1億円以上の物件なので、手が出ませんが(笑) 欧州などでは昔からリノベーションは普通に行われいて、歴史的建造物でも中はモダンでお洒落だったりしますよね。

ガソリン車が誕生して100年以上。アウディも今年で112年。アウディは、「技術による先進」というブランドスローガンを掲げていますが、ブランドコアを「Living Progress」とし、サスティナブルとデジタライゼーションでモビリティの新時代を開くと謳っています。これまでアウディのCMや広告は、車だけのものが多かったのですが、最近のアウディの広告には人物が写っているものが増えています。技術はクールなものですが、人に寄り添ったもの、という意味が込められているのかもしれません。

アウディは去年、日本でも「e-tron」という電気自動車を日本に導入しましたが、電気自動車の新車販売比率を2025年までに45%にするとコミットしています。急ピッチで電動化は進み、電気自動車も続々登場しています。

自動車業界ではCASE(コネクテッド、自動化、カーシェア、電動化)がトレンドで、それぞれに向かって技術が進化しています。また、環境問題に関しても待ったなし。自動車は走っているときはもちろん、製造過程、廃棄するまで、CO2を排出し、環境に負荷がかかります。それを減らすべく、走行時はもちろん、製造過程や運搬に至るまでCO2の排出量を削減し、かつ相殺するカーボンニュートラルへの対応も行っています。

そしてデザインマネージメントの話は田子さんから。ラグジュアリーとは日本では高級とか豪華、贅沢というイメージですが、物理的なものよりむしろ「精神的な豊かさ」ではないかという提言が。人に向き合い、寄り添えるビジネス構築ができ、ブレずに魅力的でいられるかが重要とも。ブランドとして成功するものには歴史があり、産業構造そのものが実はサスティナブルな考え方によるものが多いと感じているとのこと。発信力も重要で、貢献性の高い事業をやっているとそのブランドのファンも副次的に貢献するという良いスパイラルに。また、諸外国ではこんなことを考える「ラグジュアリーマネージメント」が経営学としてあるそうです。ラグジュアリーに対して、長年の経験などから、きちんと理解と対応ができているのかもしれません。

これはワインにも同様のことがいえる、というところから松坂さん。ワインは農業と直結しているので、地域への還元性を高め、人を育て、その特徴を味わうという行為で成り立ちます。事業スパンは畑作りで3年以上。ワインを熟成してリリースするまで30年以上というブランドもヨーロッパにはあり、だからこそ本質的な価値を守る必要があるそう。ワインの世界では、その土地や地位でしかできない価値を「テノワール」と言い、残念ながら日本にはこの概念が無いのだとか。松坂さんは敢えて、ローカルの特徴を活かすワインづくりに取り組んでいるそう。松坂さんはもともと半導体を作る会社を経営していましたが、その工場をフルリノベーションして半導体で培った技術を活かしてこの土地でワイン事業を始めたとのこと。実は私は以前、松坂さんのワイン工場にはアウディの新型Q5の試乗会でお邪魔したことがあります。その時、今まで出会ったことのない見事なシャイン・マスカットに出会い、印象に残っています。

異業種のサスティナブルの話は尽きることがありません。サスティナブルとは、人が幸せで豊かに生きていくためのキーワードなのかもしれません。

(Text by Yumi Yoshida)