3代目Audi A3シリーズがマイナーチェンジして、2017年1月に日本に導入された。そのなかから、今回はハイパフォーマンスモデルの「Audi S3 Sportback」をチェックする。

※2017年3月の記事を再構成して掲載しました。

Audi A3とともに、スポーツモデルのAudi S3もマイナーチェンジして日本でも発売になったのは、ニュースでお伝えしたとおり。A3同様、フロントビュー/リヤビューがリニューアルされ、また、バーチャルコックピットが採用(S3は標準)されている。

エンジンはこれまでの2.0 TFSIを踏襲するが、最高出力が5ps上がって290psに。トランスミッションは、A3 2.0 TFSI quattro同様、湿式多板クラッチを備える7速Sトロニックになった。

中を覗くと、ブラックとレッドのツートーンのファインナッパレザーシートが目を引く。これはオプションの「アウディデザインセレクション エクスプレスレッド」(24万円)が装着されているからで、レッドのリングが施されたエアベントとともに気分を盛り上げてくれる。

Audi S3に標準装着されるアルミホイールは、5パラレルスポークデザインの8J×18インチ。ちなみに、A3でS lineパッケージを選ぶと、同じアルミホイールが付いてくる。レッドのカラードブレーキキャリパーは5万円のオプション。マイナーチェンジ後は、「S」の文字が描かれるプレートまでレッドになった。

Audi S3ではバーチャルコックピットが標準で装着される。他のSモデル同様、センター1眼メーターのレイアウトが使えるのがうれしいところ。アナログメーターっぽい大型の回転計と、その中央部に速度計。個人的にはこのパターンが一番見やすいと思う。

さらにうれしいのが、オプションとはいえ、マトリクスLEDヘッドライトが選べること。街中などを除き、まわりに迷惑をかけずに常時ハイビームが使えるので、夜のドライブがとてもラクになる。S3に標準のLEDヘッドライトからマトリクスLEDヘッドライトに11万円でアップグレードできるというのも魅力的で、S3を買うなら絶対に選んでおきたいオプションである。

カンジンの走りは、相変わらず低回転からとても力強い2.0 TFSIエンジンは、どこからアクセルペダルを踏んでも頼もしい加速を見せてくれる。少し多めにアクセルペダルを踏んでいくと、ブースト計が中央を越えたあたりからさらにパンチのある加速を見せ、スポーティなサウンドとともにエキサイティングな走りを楽しませてくれる。

Sトロニックが7速になったのにともない、1〜3速のオーバーオールのギヤ比(ギヤ比×最終減速比)は従来よりも数字が大きくなり、加速には有利に。一方、4〜6速はマイナーチェンジの前後でほぼ変わらないものの、新型は7速目が追加されたことで、高速巡航時のエンジン回転数が抑えられ、燃費向上が期待できる。

7速Sトロニックはシフトがさらに素早くスムーズになり、ギヤが増えたことによるデメリットは感じられない。

このクルマにはオプションのマグネティックライドが装着されていた。先日乗ったAudi A3 Sportback 2.0 TFSI sportのS lineパッケージ装着車よりもサスペンションの味付けは硬めだが、跳ねるような動きは抑え込まれていて、むしろこのS3のほうが快適なほど。もちろん、アウディ ドライブセレクトで「COMFORT」を選べば、乗り心地は多少マイルドになり、100km/h以下ならピッチングなども気にならないので、COMFORTを常用しても不満はない。

やや硬めのサスペンションとquattroのおかげで、高速走行時の安定感は抜群! 中立付近でスロー、舵角が大きくなるとクイックなプログレッシブステアリングは、ワインディングロードできびきびとしたハンドリングをもたらし、楽しさがアップする。

程よいボディサイズでふだん使いにも便利なAudi S3 Sportback。できることなら、返却せずにこのまま手元に置き続けたい1台である。

(Text by Satoshi Ubukata)