マイナーチェンジした「Audi Q5」のクリーンディーゼルエンジン搭載グレードを試乗。12Vマイルドハイブリッドシステムを手に入れたAudi Q5 40 TDI quattroの走りは？
すででニュースでお伝えしたとおり、2代目「Audi Q5」がマイナーチェンジを実施し、日本でも2021年3月8日から販売が開始された。
新型はQファミリーの最新のデザインを採り入れたエクステリア、タッチスクリーンを備えたMMIナビゲーションシステムによりさらに開放感を増したコックピット、12Vマイルドハイブリッドシステム（MHEV）を採用するパワートレインなどが特徴である。
詳細は上記のニュースをご覧いただくとして、新しいコックピットは、マイナーチェンジ後のAudi A4/A5シリーズ同様、センターコンソールのMMIコントローラーが姿を消したおかげで、これまで以上にすっきりした印象になった。
注目のTDIエンジンは、2L直列4気筒ディーゼルターボで、最高出力150kW（204ps）／3800〜4200rpm、最大トルク400Nm（40.8kgm）／1750〜3250rpmの実力を持つ。これに12Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされるAudi Q5 40 TDI quattroは、WLTCモード燃費が14.5km/L、高速道路モード燃費が16.2km/Lを達成。なお、7速Sトロニックと、AWDクラッチ式のquattroが組み合わされるのは従来どおりだ。
今回試乗したのは、エントリーグレードのAudi Q5 40 TDI quattro advancedで、パーシャルレザーのスポーツシートなどを含む「ラグジュアリーパッケージ」と、マトリクスLEDヘッドライト、8J×19インチアルミホイール、アコースティックガラス（フロントサイド）で構成される「plusパッケージ」が装着されていた。
さっそくエンジンをスタートさせると、アコースティックガラスのおかげもあって、窓を閉めておけばディーゼル特有のノイズはほとんど気にならず、振動もとても控えめである。
一方、低回転からトルク豊かなTDIエンジンだけに動き出しは軽い。12Vマイルドハイブリッドシステムが効いているのだろう、1500rpm以下でもアクセルペダルの動きに素早く反応してくれるため、実に扱いやすい。しかも、TDIエンジンはスムーズで、しばらく乗り続けていると、TDIであることを忘れてしまうほど。マイナーチェンジ前のQ5 TDIに輪をかけて洗練された印象である。
2000rpmを超えるとさらに2.0 TDIは力強さを増し、山道の登りもぐいぐいと進んでいく。さらにアクセルペダルを深く踏み込めば、3000rpmあたりから一段と強力になり、力強くスムーズな加速がレッドゾーンの4750rpmまで持続する。Audi A6/A7にも同じパワートレインが積まれているが、この2.0 TDIの実力はクラストップレベルと断言できる。
Audi Q5 40 TDI quattro advancedの走りはSUVとして落ち着いている。ただ、標準よりも1インチ大きな19インチアルミホイールと235/55R19タイヤが装着されているため、目地段差を超えたときなどにはショックを伝えがちなのが気になった。できれば、オプションのアダプティブエアサスペンションをチョイスしておきたい。
今回は高速道路の試乗中に激しい雨に見舞われることがあったが、そのときの抜群の安定感には舌を巻いた。路面状況が良い場合はいうまでもなく、悪化した状況でもAudi Q5 40 TDI quattro advancedはしっかりと路面を捉え、quattroのありがたさをあらためて確認することができた。
気になる燃費は、高速道路を制限速度で巡航した場合が18,8km/L、高速道路と一般道をあわせて1400km走行した場合（高速9：一般道1）の燃費が15.9km/Lとなかなか優秀で、高速道路の走行が中心なら、70Lの燃料タンクを満たせば1000km走破は楽勝である。
ということで、エントリグレードながら、実に魅力的に仕上がっているAudi Q5 40 TDI quattro advanced。余裕ある室内スペースと余裕ある加速性能、そして、安心の走りを求める人には、打ってつけのSUVといえるだろう。
(Text by Satoshi Ubukata)