RSモデルの頂点に君臨する「Audi RS 6 Avant」に試乗。最高出力600psを誇る4L V8ツインターボは、どんな走りをもたらすのか?

Audi Sportが手がける最新のAudi RS 6 Avantは、最高出力441kW(600ps)、最大トルク800Nmの4.0 TFSIを搭載。これに、8速ティプトロニックと機械式のセンターデフを持つquattroが組み合わされる。

最新型の概要は上記のニュースをご覧いただくとして、今回の試乗車には、オプションのカーボン/グロスブラックスタイリングパッケージが装着され、カーボンのボディパーツがAudi RS 6 Avantをさらに精悍な雰囲気に仕立て上げている。

アルミホイールも1インチアップされ、タイヤサイズは標準の275/35R21に対し、285/30R22にアップ。強大なストッピングパワーに加えて、40kgの減量効果があるオプションのセラミックブレーキが装着されているのも見逃せない。

室内はRSのロゴが刻まれたバルコナレザーのSスポーツシートに加えて、スターターボタンの赤いリングやステアリングホイールに設けられたRSボタンなど、さまざまなパーツが特別なモデルであることをアピールしている。

バーチャルコックピットも、RSモデル専用のビューが追加され、また、MMIの車両メニューでは、エンジンオイルや冷却水に加えて、ブレーキローターやスポーツディファレンシャル、オートマチックフルードの温度がチェック可能だ。

前置きはこのくらいにして、AUTOモードで軽くアクセルペダルを踏んでやると、600psのハイパフォーマンスエンジンを搭載するとは思えないくらいジェントルな走り出しを見せる。とはいえ、2160kgのボディを軽々と発進させる豊かなトルクを、アイドリングを少し上回ったくらいの回転で発揮するのだから、只者でないことは確かだ。

動き出してからも、アクセルペダルに乗せた右足にすこし力を込めるだけで素早い加速を見せてくれるので、頻繁に加減速が必要な街中でも扱いやすいことこの上ない。

RSアダプティブエアサスペンションがもたらす乗り心地は硬めではあるが、ゴツゴツした感じとは無縁で、思いのほか快適な印象。目地段差を越える際のショックをうまくいなす一方、挙動は落ち着いており、フラットな乗り心地を示すバランスの良さ。これなら、日常の足として使ってもガマンを強いられることはないだろう。

もちろんそれは、Audi RS 6 Avantの一面に過ぎず、その気になってアクセルペダルを深く踏み込むと、背中を押されるような鋭い加速に見舞われる。とくに4000rpmを超えたあたりからの加速は圧倒的で、刺激的なV8サウンドを高めながら、一気にレブリミットまで突き抜ける爽快さこそ、このクルマの一番の魅力である。

走行モードをダイナミック、あるいはカスタマイズしたRS1モード、または RS2モードに変えれば、さらに刺激的なドライビングが味わえる。ステアリングホイールのRSボタンを使えば、ダイレクトにRS1モード、または RS2モードに切り替えられるのも便利である。

一方、気筒休止機構のCoD(シリンダーオンデマンド)や48Vマイルドハイブリッドを採用する最新のAudi RS 6 Avantは、高速巡航時などには頻繁に4気筒モードに切り替わり、また、アクセルオフでエンジンが停止するなどして燃費を稼ぐ。ためしに高速道路をおとなしく巡航した場合の燃費は13.2km/Lで、600psのスポーツモデルとは思えない好燃費を示したのには驚いた。

日常からスポーツドライビングまで最高のパフォーマンスを見せるAudi RS 6 Avant。Audi最速のAvantは、もっとも魅力的なAvantでもあるのだ。

(Text & photos by Satoshi Ubukata)

■関連リンク
Audi RS 6 Avant