2020年12月4日〜6日、三重県の鈴鹿サーキットで「TCRジャパンシリーズ2020 Round 5」が行われ、Audi RS 3 LMSの篠原拓朗選手がSundayシリーズで2連勝、また、Saturdayシリーズではドライバータイトルを決めた。

第5戦には、Audi RS 3 LMSが2台、VW Golf GTI TCRが1台、ALFA ROMEO GIULIETTA TCRが2台、ALFA ROMEO GIULIETTA Veloce TCRが1台、Honda CIVIC TCRが3台、CUPRA TCRが1台の計10台がエントリーした。10名のドライバーのうち、いわゆる“ジェントルマンドライバー”が競う「ブロンズクラス」が7名、「オーバーオール」と呼ばれる総合のみで戦うドライバーが3名で、Audi RS 3 LMSの#21 篠原拓朗選手とVW Golf GTI TCRの#25 松本武士選手がこれにあたる。

TCRジャパンシリーズの各ラウンドは、「Saturdayシリーズ」と「Sundayシリーズ」で構成され、通常は各1レースが行われる。ただ今回は、開幕戦の菅生でSundayシリーズの決勝がキャンセルとなったため、それを補完するためにSundayシリーズの決勝が2レースに増やされ、4日(金)に各シリーズの予選とSundayシリーズの第1レース、5日(土)にSaturdayシリーズのレース、6日(日)にSundayシリーズの第2レースが行われるという変則的なスケジュールになった。

Sundayシリーズ 第1レース

4日の午後2時5分から、Sundayシリーズの第1レース決勝が行われた。オーバーオールのポールポジションは#21 篠原選手が、ブロンズクラスは、フォルクスワーゲン グループの一員である「SEAT(セアト)」のCupra TCRを駆る#19 HIROBON選手が、それぞれ獲得した。

スタンディングスタートで始まったレースは、性能調整のCW(Compensation Weight)を60kg積む#21 篠原選手をかわして、#19 HIROBON選手が先行。しかし、#19 HIROBON選手が2コーナーでバランスを崩した隙に#21 篠原選手がトップを奪い返し、2位以下を離しにかかる。

その後、#21 篠原選手はライバルを1〜2秒上回るタイムで周回を重ねていく。一方、#19 HIROBON選手と#25 松本選手の2位争いが延々と続くが、タイヤにダメージを負っていた#19 HIROBON選手が9周目の2コーナーでコースアウト。それを見逃さなかった#25 松本選手がオーバーテイクし2位に浮上する。その後、#19 HIROBON選手は#34 下野璃央選手(CIVIC)にもかわされ、総合4位、ブロンズクラス2位でレースを終えている。

Saturdayシリーズ

5日の午前10時55分から、Saturdayシリーズの決勝レースが行われた。オーバーオールのポールポジションは#21 篠原選手が、ブロンズクラスは、#34 下野選手(CIVIC)がそれぞれ獲得している。

レースは、#34 下野選手が会心のスタートを決めて先頭に踊り出る一方、それを追う#21 篠原選手と#25 松本選手が接触。さらにその後方の#19 HIROBON選手もアクシデントに巻き込まれ、この3台は早々に戦線を離脱することになる。

ライバルが消えた#34 下野選手は、ブロンズクラスだけでなく、オーバーオールでの初優勝を手に入れた。また、今シーズンからレースを始めたAudi RS 3 LMSの#17 鈴木建自選手が、ブロンズクラスの3位に入った。

このレースでノーポイントに終わった#21 篠原選手だったが、2位以下に30ポイント超の差をつけていることから、最終戦を待たずにSaturdayシリーズのチャンピオンを決めた。

Sundayシリーズ 第2レース

6日の午前10時55分から、Sundayシリーズの第2レース決勝が行われた。スターティンググリッドはSundayシリーズの予選のセカンドベストタイムで決められ、オーバーオールのポールポジションは#21 篠原選手が、ブロンズクラスは、#62 塩谷烈州選手(CIVIC)がそれぞれ獲得している。

スタートは、#21 篠原選手が、2番グリッドの#25 松本選手や5番手からスタートの#19 HIROBON選手を抑えて、トップで1コーナーを通過。その後も危なげない走りを続けた#21 篠原選手は、一度もトップを明け渡すことなく、ポール・トゥ・ウィンを果たした。

その後方では、2位の#25 松本選手とそれを追う3位の#19 HIROBON選手が周回を重ねるが、2台の差は徐々に広がり、そのままの順位でレースはフィニッシュを迎えた。

鈴鹿で2連勝した#21 篠原選手は、Sundayシリーズのドライバーランキングでトップに立ち、両シリーズのタイトル制覇に一歩近づくことになった。

最終戦となる第6戦は、12月19日〜20日、静岡県の富士スピードウェイで開催される。

(Text by Satoshi Ubukata / Photos by TCR Japan)