フルモデルチェンジにより2代目へと進化した「Audi Q7」に試乗。その走りはどう変わったのか?

※2016年4月の記事を再構成して掲載しました。

すでにニュースでもお伝えしたとおり、Qファミリーのフラッグシップモデルが日本再上陸を果たした。新型Audi Q7は、Audiの新アーキテクチャ「MLB evo」を採用することで、軽量化や運動性能の向上、安全装備の充実を図ったのが特徴。同じMLB evoを採用する新型Audi A4が走りのレベルをグンと上げてきただけに、新型Audi Q7がどんな走りを見せてくれるのか、とても楽しみだった。

クルマの概要は前述のニュースをご覧いただくとして、今回試乗したのは、3L V6スーパーチャージャーエンジンを積むAudi Q7 3.0 TFSI quattroで、オプションの「アダプティブエアサスペンションパッケージ」が装着されている。

新型Audi Q7は、エクステリアの雰囲気が大きく変わり初代に比べて端正な印象となったが、それにも増してインテリアは変貌を遂げ、実に上質な空間に仕上がっている。水平基調のダッシュボードや帯状のエアベント、コンパクトにまとめられた空調パネル、美しいセンターコンソールなど、Audiらしいスタイリッシュかつ精緻なつくりがたまらない。

上級グレードの3.0 TFSI quattroでは、フルデジタルの液晶メーター「バーチャルコックピット」が標準で装着されている。下の写真は速度計/回転計が小さく表示される"プログレッシブビュー"の状態で、ほぼ全面に地図を表示することも可能だ。

また、下の写真はセンターコンソールの様子で、シフトバイワイヤーの採用により、シフトパターンが変わり、P(パーキング)への切り替えはシフトレバーのスイッチで行う。乗り始めた直後は戸惑ったものの、慣れるとシフトレバーを動かさずに済むのがとても便利だ。

大型のタッチパッドを採用したのも新しいところ。さらにこのタッチパッドがメニューやサブメニュー、BACKなどのボタンを兼ねていて、こちらも慣れれば使いやすそうだ。

前置きはこのくらいにしてさっそくクルマを発進させると、出足から余裕たっぷりで、全長5070mm、全幅1970mm、全高1705mmという大きさを忘れてしまうほどだ。それもそのはずで、新型Audi Q7は先代の3.0
TFSI(エアサス付き)に比べて250kgの軽量化が図られるととともに、エンジンも61ps/40Nmアップの333ps/440Nmに性能が向上しているのだ。

おかげで、低回転から十分な力強さを発揮し、アクセルペダルに載せた右足の動きにも素早く反応。その一方で、このスーパーチャージャー付きエンジンは高回転も得意で、アクセルペダルを深く踏み込めば2100kgのボディをスポーティに加速することも可能なのだ。

8速オートマチックは、90km/hあたりでトップギヤを選び、100km/hのエンジン回転数は1500rpmほど。標準装着されるContiSportContact5 for SUVの静粛性が高いこともあって、快適なハイウェイクルーズを楽しむことができる。

アダプティブエアサスペンションがもたらす乗り心地は実に快適なもので、255/55R19サイズのタイヤを上手く手懐けている。走行時の挙動も落ち着いていて、フラット感もまずまず。ただ、エアサスペンションのモードは個人的には"オート"よりも少し硬めの"ダイナミック"が好みで、アウディ ドライブセレクトの個別設定機能を使って、サスペンションのみダイナミックに変更して走ることが多かった。

直進時はquattroならではの安定感が頼もしい。一方、ワインディングロードでは、SUVとしてはロールが抑えられていることに加えて、リヤがステアするオールホイールステアリング機能によってリヤの接地性がとても高く、ハンドリングにもキレがあることから、実にスポーティな走りが楽しめた。走りにこだわる人にはオプションのアダプティブエアサスペンションパッケージは絶対にオススメだ。

大型のSUVだけに、室内は広く、とくにセカンドシートや、サードシートを収納した状態のラゲッジスペースは余裕のひと言。その一方で、サードシートは大人には窮屈で長時間の移動は遠慮したいが、いざというときの補助席として選んでおきたいオプションである。

このように、デザインに加えて、走りのクオリティも格段にアップした新型Audi Q7。余裕あるサイズのSUVを考えている人で、走りやデザインにもこだわるなら、このAudi Q7は打ってつけの1台だろう。

(Text by Satoshi Ubukata )