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「Audi A6」にクリーンディーゼルエンジン搭載の「Audi A6 Avant 40 TDI quattro」が登場。その走りと燃費を確かめる。

ニュースでもお伝えしたとおり、Audi A6とAudi A7 Sportbackに、2L直列4気筒のクリーンディーゼルエンジンを積む「40 TDI quattro」が追加になった。

クリーンディーゼルエンジンといえば、すでに「Audi Q5 40 TDI quattro」が日本でも販売されている。搭載される2L直列4気筒ディーゼルターボの「EA288」エンジンは、最高出力140kW(190ps)/3800〜4200rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/1750〜3000rpmの実力を持つ。

これに対して、Audi A6/A7 Sportbackに搭載されるTDIエンジンは12Vマイルドハイブリッドシステムに対応する「EA288 Evo」で、燃焼プロセスの改良やさらなる低排出ガス化などが図られたという。最大トルクは同じ数値ながら、最高出力は150kW(204ps)/3800〜4200rpmと14psアップしている。

トランスミッションはAudi A6の他のグレード同様、7速Sトロニックが組み合わされ、“AWDクラッチ”と呼ばれる電子制御油圧多板クラッチを持つquattroにより4輪を駆動する。そして、前述のとおり、12Vのマイルドハイブリッドシステムが搭載されている。

さっそくエンジンを始動すると、ディーゼル特有のノイズや振動はとても控えめ。窓を閉めてコックピットに籠もっているかぎりは、TDI仕様であることを忘れてしまうほどだ。

アクセルペダルを軽く踏むと、1900kgという車両重量が信じられないほど軽い動き出しに驚く。2L TDIエンジンは低回転からトルクが豊かで、12Vマイルドハイブリッドシステムの恩恵もあるのだろう、アクセルペダルの動きに対して即座に反応。おかげで、スムーズで上品な加速を見せてくれるのだ。

街中を走るような状況では、とくに加速時にノイズや振動が目立つことの多いディーゼルエンジン。しかし、AudiのTDIはそのあたりのマナーが良く、以前試乗したAudi Q5 40 TDI quattroでも静粛性の高さを実感できた。ところがこのAudi A6 Avant 40 TDI quattroは、Audi Q5をさらに上回る静粛性の持ち主で、ディーゼルエンジン搭載車のなかでは、ノイズや振動の小ささはトップクラスといえる実力だった。

アクセルペダルを踏み込んだときには、力強くスムーズな加速がレッドゾーンの4750rpmまで持続し、高速道路の合流や追い越しもお手のもの。100km/h走行時のエンジン回転数は7速が約1300rpm、6速が約1700rpmで、エンジンのノイズはほとんど気にならない。

唯一惜しいのが7速Sトロニックの設定。Dレンジで7速にシフトアップするのは110km/h弱で、パドルシフトを使っても7速にシフトアップできるのは101km/hを超えてからだった。制限速度が120km/hとなる一部の高速道路を除き、日本の多くの道路では建前上は7速を活用しきれないことになる。

それでも、高速走行時の燃費は優秀で、クルマの流れに合わせて走行した場合で20.4km/L。一方、一番左の走行車線をトラックと同じくらいのペースで走ったときには、29.5km/Lをマークしている。まあこれは極端な例だが、高速道路だけなら満タン(63L)で1200km走るのはそう難しいことではなく、うまく走れば1600kmオーバーも夢ではない。

ダイナミックオールホイールステアリングとダンピングコントロールサスペンションからなるオプションの“ドライビングパッケージ”が装着される試乗車は、クイックなハンドリングや安定したレーンチェンジなどにより、運転中は余裕あるボディサイズを意識せずにすむ。回転半径が小さく、一発でUターンできるのもうれしいところだ。

乗り心地はマイルドで、高速走行時のフラット感も上々。quattroだけに、直進安定性も抜群で、グランドツーリングには打ってつけのクルマといえる。

ということで、走りも燃費もとても魅力的なAudi A6 Avant 40 TDI quattro。3L V6ガソリンターボの55 TFSIはいうまでもなく、2Lガソリンターボの45 TFSIよりも低い価格設定の40 TDIは、今後Audi A6シリーズの主力グレードとして、Audiのハイエンドセグメントを牽引することになるに違いない。

(Text & Photos by Satoshi Ubukata)