「Audi Q2」にパワフルな2.0 TFSIエンジンとquattroを搭載したスポーツモデル「Audi SQ2」が日本上陸。そのスポーティな走りをチェックした。
すでにニュースでもお伝えしているとおり、プレミアムコンパクトSUVのAudi Q2に、待望のSモデルが追加になった。日本国内では、Audi Q2へ4WDのquattroが搭載されるのは初めてということもあり、どんな走りを見せてくれるのか楽しみだ。
Audi SQ2の概要は上記のニュースをご覧いただくとして、SQ2専用色となるデイトナグレーPEのボディをまとう試乗車は実に精悍な印象で、いつものAudi Q2とはまるで別のモデルのようだ。
オプションのインテリアデザインパッケージが装着されたコックピットは、マグマレッドのファインナッパレザーのシートや、レッドアクセントリングが施されたエアベントが目を引く。やはりオプションのバーチャルコックピットは、中央に大型の回転計が表示されるSモデル専用ビューが備わり、特別なクルマであることを訴えている。
さっそく走り出すと、2.0 TFSIエンジンが低回転から実に力強い。Audi S3と同じ2.0 TFSIエンジンを最高出力で10ps、最大トルクで20Nmアップし、300ps/400NmのスペックとなったSQ2の2.0 TFSIエンジンは、1570kgのボディを軽々と加速させるのだ。アクセルペダルの動きに対するレスポンスも良く、ほとんどターボラグを感じさせずに加速態勢に入るのが小気味よい。
アクセルペダルを深く踏み込むと、3000rpmを超えたあたりから、スポーティなサウンドをともないながら6000rpmを超えるまで勢いのいい加速が続く。ダイナミックモードでは、アイドリングから太いエキゾーストノートが耳に届く。さらに回転を上げると、サウンドジェネレーターの音がコックピット内で高まるのだが、個人的には人工的かつ雑味のある音はあまり好きではなく、ドライブセレクトのインディビジュアル設定でエンジン音のボリュームを落としてしまった。
一方、Audi SQ2の走りも痛快そのもので、とくに高速コーナーは、このクルマがもっとも得意とする場面だ。SUVとしてはロール量、ロールスピードが抑えられており、安定した姿勢のまま、しっかりと路面を捉えながらのコーナリングは実に爽快である。ワインディングロードを飛ばすと、さすがに背の高さが気になるが、ふだんの走りはSモデルの名にふさわしいスポーティさに溢れている。
高速走行時のフラット感もまずまず。一方、少し硬めのサスペンションにオプションの19インチホイールと235/40R19が組み合わされた試乗車は、目地段差などを通過した際にショックを拾いがちだが、十分に許容できる乗り心地が確保されている。欲をいえば、ダンピングコントロールサスペンションが用意されるとうれしいのだが……。
ところで、このAudi SQ2は、車両本体価格が599万円で、試乗車には19インチアルミホイール、オートマチックテールゲート、バーチャルコックピット、Bang&Olfsenサウンドシステム、アシスタンスパッケージ、ナビゲーションパッケージ、インテリアデザインパッケージなど各種オプションが装着されていたために、722万円という豪華な仕様となっていた。
その値段に対して、コックピットなどの質感がやや足りないのが気になるところだが、コンパクトで取り回しの良いサイズのボディを、気持ち良く走らせたいという人にとっては、打ってつけのクルマであるのは確か。価格に納得できれば、そのあとに楽しいカーライフが待っているのは間違いないだろう。
(Text & photos by Satoshi Ubukata)