しかしここで、がぜん注目を集めたのがセーフティカーの「Audi R8」。Audi自慢の4WDシステム「quattro」が効いてか、セーフティカーなのに安定して速い!そして今回は6回も、しかも長い時間走っているため、Audi R8が走行するシーンをどれだけ見たことか。
AudiはWECを卒業してもなお、存在感を見せつけているのでした。
今回私は、今年最後のWEC LMP1参戦となるポルシェのホスピタリティブースにお邪魔しました。
ポルシェのピット上にありますが、その部屋の一角が仕切られて、選手のみなさんの控室になっているため、選手の方々が普通に通り、気軽にサインなどにも応じてくれるという......。残念ながら今回、私は選手の方とはだれも写真を撮らなかったのですが。
そしてレースが開催中に行われるポルシェLMPチームの「パドックツアー」にも参加しました。WECやF1などのような世界選手権レベルの場合は、やはりピットに気軽に入れる雰囲気ではないため、こういったツアーでないと、なかなか入る機会がありません。
ピットクルーは戦いの真っ最中なので、邪魔にならないようにチームの方のお話を聞きますが、今回は運よくピットインのタイミング。
ピット内には、レース中に他のマシンと接触してダメージを受けたフロント部分が置かれています。こちらの予備は1レースごとに2〜3個用意されているそうです。ほかには汗をかいたヘルメットやグローブを乾かす乾燥機や選手の体型に合わせて作ったそれぞれのドライバーズシートが置かれています。
そして重要なタイヤ。ゴムでできているタイヤは冷えていると十分なパフォーマンスを発揮できないため、レースで使用するタイヤを温めるためのオーブンがいくつか用意されています。温度設定は60〜75℃。この日は64.7℃と75.1℃に設定されていましたが、温度は気温や路面に応じて設定を変えるとか。そして監督からオーダーが入ると熱々の状態で素早くピットへと運びます。
「恋もタイヤも冷めないうちに」ということのようです。
(Text by Yumi Yoshida)