一方、室内はパドルシフト付きの3スポークステアリングやハーフレザーのスポーツシートがおごられ、デザインも機能性もグンとアップ。また、ブラックのヘッドライニングやマットブラッシュドアルミパネルなど、お約束の演出もファンにとっては見逃せないところです。
さっそく、都内にあるアウディ ジャパンからQ3を連れ出し、"目黒通り"で都心に向かいます。この通り、走ったことがある人はわかると思いますが、片側3車線の大きな通りですが車線が狭く、大きなクルマで走るときはいつも緊張するんですよ。ところが、このQ3は車幅の感覚がほぼA3スポーツバックと同じです。実際はQ3のほうが65mm幅広いんですが、アイポイントが高いのが幅の広さを相殺しているのかもしれません。だから、実は苦手な目黒通りも、このQ3なら気楽に走ることができました。
アイポイントは高いんですが、ダッシュボードはやや低い位置にあります。だから、ダッシュボードの上が見渡せます。下の写真はさらに高い位置から撮影したものですが、エアコンの吹き出し口やアルミのパネルが斜め上を向いているのがわかりますよね? 高い位置から見たときに適切な向きになるように工夫されていたわけですね。ダッシュボードの上を走るラインも、広いダッシュボードの眺めを飽きさせない工夫なのでしょう。
「オートモード」では、標準モデルよりも少し硬めの乗り心地です。低速走行中、場合によっては路面の凹凸をコツコツと伝えてくることがあるんですが、スピードが上がればほとんど気にならなくなります。S-lineといえども硬すぎないのは、最近のアウディの傾向ですね。標準モデルでもフラットな動きを見せるQ3は、S-lineではさらにフラット感が向上します。コーナリング時の姿勢もロールがよく抑えられていて、安定感が増していました。
基本的には、街中から高速までオートモードに入れておけばOK! コンフォートモードは路面の悪い舗装路や未舗装路を走るときに重宝します。一方、ダイナミックモードに切り替えると明らかに硬くなり、ショックも拾いがちですが、それでも慣れてしまえばさほど不快ではありません。実際、ダイナミックモードに切り替えたことを忘れて、そのまま街中を走りましたが、あまり気にならず......。もちろん、ワインディングロードを駆け抜けるときなどはダイナミックモードに切り替えたほうが気持ちよく走れるでしょう。
試乗して気になったのが、ボディがコンパクトなわりには小回りが効かないこと。最小回転半径は5.7mで、Q5の5.4mよりも大きいという事実! それでも、全長があまり長くないので取り回しには困りませんが、Uターンするときなどに、「あれっ、曲がれない!」ということもあるのでご注意を!
というわけで、しばらく乗っていたら、あまりの使いやすさにQ3がほしくなってきた僕。A3スポーツバックの購入前に乗っていたら、違う結果になっていたかも!? などと妄想しつつ、約48時間の試乗はあっというまに終わりました。
(Text by Satoshi Ubukata)