2年に一度のフランクフルトショー(IAA)が開幕しました。Audiをはじめ、多くの自動車メーカーが「電気自動車」と「自動運転」をテーマに、さまざまな展示を行っている......そうですね。 残念ながら今回も現地に行くことはできませんでしたが、IAAの熱気はネットの動画や写真からも十分伝わってきます。

Audiブースでも、自動運転技術を搭載した市販車とコンセプトカーを展示していることは、
この"レベル3"の自動運転機能をAudiは「Audi AIトラフィックジャムパイロット」(以下、トラフィックジャムパイロット)と呼んでいます。信号がなく、中央分離帯やガードレールがある片道2車線以上の自動車専用道路を60km/h以下で走行する場合にトラフィックジャムパイロットを起動すると、システムがアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作を行い、同一車線を自動的に走行することができます。

条件が整うと、センターコンソールの「Audi AI」ボタンが白く光ります。これを押すとシステムが起動されます。


似たような機能として、Audi A4などに搭載される「トラフィックジャムアシスト」があります。両者の違いとしては、トラフィックジャムアシストはドライバーは基本的にステアリングホイールから手を放すことができないのに対し、トラフィックジャムパイロットなら手放しが可能なこと。さらに、ドライバーは、車載のインフォテインメントシステムの映像を見たり、MMIを使ってメッセージの送受信ができるなど、渋滞時の退屈な時間を運転以外のことに割けるようになります。


かといって、新聞を読んだり、居眠りをすることは許されません。システムが自動運転に対応できなくなった場合に、ドライバーはすみやかに運転を代わる必要はあるからです。そのため、システムはカメラによってドライバーを監視し、目を閉じていたり、顔を隠していたりすると警告を発します。ドライバーに運転を代わってほしい場合も、同様に警告を行います。


10秒以内にドライバーがリクエストに応えない場合、さらなる警告を発し、それでもドライバーが無視を続けると、クルマを揺さぶりながら自動的に減速。そして最終的にはクルマを車線内に自動停止してハザードを点灯します。

つまり居眠りしていて起きないと、クルマが勝手に停まってしまう仕組みになっているのです。


Audi A8のトラフィックジャムパイロットが行う自動運転は限られた範囲のもので、自動的な車線変更にも対応しませんが、現状ではこれが最先端の自動運転であることも確かです。

そんなトラフィックジャムパイロットのようなレベル3の自動運転を一般の道路で使うには、多くのハードルがあります。ドイツでは2017年の法改正により走行が認められるようになり、ヨーロッパ諸国でもこれに追随する動きがあります。一方、日本では法整備にまだまだ時間がかかりそうです。

また、レベル3の自動運転が可能かどうかという以前に、その運転が心地良いものかどうかというのも重要な問題です。せっかく自動運転に切り替えても、車酔いを誘うようなドライビングでは困りますからね!

果たしてどんな仕上がりなのか、実際に試す日が待ち遠しいですね。

(Text by Satoshi Ubukata)