先日、先輩とフォルクスワーゲン・ゴルフに乗っていた際、路肩に停めるのにハザードランプを使い、再び出発する際、戻すのを忘れ、ハザードをしたままウインカーを出して出発してしまいました。僕は何も気づかず、車線に復帰してすぐハザードを戻しました。あ、忘れてたって感じで。
すると先輩がぽつり「ドイツ車はいいよね」と呟きました。「え、なんですか、それ?」と僕。異論はありませんでしたが、なぜこのタイミングでそれをいうのかわからなかったからです。
聞けば、ドイツ車はハザードをしたままウインカーを操作すると、ウインカーの機能がハザードに優先するようになっているというじゃありませんか。だから今お前はダサい発進をせずにすんだのだと。この機能、知ってました!?
小さな機能ですが、効果は偉大です。例えば、こんなケースで。
高速道路の出口付近で3車線とも渋滞→後続に混んでいることを知らせるためにハザード→渋滞に近づいてみたら隣の車線の方が空いている→そこでハザードを戻さないままウインカーを出して車線変更......ということができます。
そこまで重大な状況じゃなくても、先日の僕のように、路肩から車線に合流する際にハザードを戻し忘れたままウインカーを出した場合、ウインカーの機能が優先してくれれば、後続車からの見え方としてスマートです。ま、忘れたままだとウインカーを戻した後、再びハザード機能が復活して、結局、何がしたいんじゃ、こいつとなりますが。
ともあれ、"いいクルマ"とか"確かなブランド"の称号を得るのに大切なのは、こういうことの積み重ねじゃなんじゃないでしょうか。それでいて、日本車が始めたロックに合わせたドアミラー格納機能が求められていると認識すれば、その機能も日本向のためだけに備えてくる。
あ、そうそう、ドアミラー格納といえば「メルセデスは格納したドアミラーが元に戻るタイミングをきちんと考えていて、さすがです。普通は駐車したクルマに近づいて、リモコンキーでアンロックした瞬間にドアミラーが戻りますよね? でもメルセデスはドアを開けてからミラーが出てくるようになっているんです」とレクサスのエンジニアが感心していました。つまり、クルマに乗り込む際、狭い駐車場ですぐ隣にクルマがあるようなケースでは、ドアミラーが開いていると隣のクルマとの間がよけい狭くなり、すり抜けるのに不便ですよね。だからドアを開けてからミラーが開くようになっているのです。
ドイツ車ってすごい。だからといって世の中のクルマがドイツ車ばかりにならないからこそクルマ趣味は奥深く、クルマ商売は難しいのだと思いますが、日本車もドイツ車に負けず、いわゆるTIPS的機能を増やしてほしいです。
(Text by Satoshi Shiomo)