ブレーキの使い方ひとつで、運転の印象は変わります。では、上手なブレーキングとは? ブレーキの役割は、おもに減速したりクルマを止めるといったことですが、とてもスムーズに操作する人もいれば、同乗者の首や上体がガクンガクンと常にお辞儀してしまうような踏み方の人がいたりと、実にさまざまです。

同乗者が酔わないようにブレーキをスムーズにかけたり、また、峠やサーキットでクルマを速く走らせるためにも、そのあたりのコツをお話ししましょう。これができれば、走りの幅がかなり変わるはずです。

どんな領域であってもガクンとなるのは好ましくありません。交差点手前でガクンとなると、同乗者は酔いやすくなるし、自身も首肩コリが起きやすくなります。

峠やサーキット走行では、サスペンションの動き(伸び縮み)が必要以上に大きいとタイヤにかかる荷重が不安定になり、ブレーキングフォーやコーナリングフォースが安定せず、タイムアップも望めません。


クルマによって違いますが、たとえば街中で必要なブレーキの踏み込み量を10〜50%としたら、そこまでを"スーッ"とスムーズに踏み込み、減速が完了したら今度は同じように"スーッ"と戻していきます。

一方、サーキットでは必要なブレーキ踏み込み量を50〜100%位とすると、街中と同じようにそこまでを一気に踏み込むのではなく、少し余裕を持たせて"スーッ"っと踏み込み、そして戻すことが大事です(もちろん街中よりは操作は早いので、難しくなります)。コーナリング後に反動(お釣り)を食らうようだとその後のアクセル操作がスムーズにはいかず、立ち上がりが遅くなってしまいます。

要は、ブレーキングのうまい人はバネ上(車体)の動きがコントロールできているので、スピードを感じさせず、安定しながらも速い運転ができるのです。

後編に続く......

(Text by Michiya Kasai)